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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十話 ウチナンチューその九

「お元気ならね」
「まあ不整脈っていうから」
「お元気かっていうと」
「どうかわからないけれどね」
 それで倒れたらしいしだ、お元気かというとだ。
「まあそれでもね」
「野球に関わっていて」
「今も甲子園におられるみたいだよ」
「よかったよ、けれどね」
「けれど?」
「いや、沖縄って野球盛んだけれど」
 ここで微妙な顔になった安座間君だった。
「何か甲子園で優勝することも少ないかな」
「そういえばそうかな」
 僕も言われてみればだった、そんな気がした。
「大阪は多いよね」
「あと神奈川だよね」
「広島も多いし」
「四国とかね」 
 今は独立リーグも盛んな地域だ。
「野球強いよね」
「けれど沖縄はね」
 安座間君はまた残念そうに言った。
「どうもね」
「野球が盛んでも」
「強くないかな、プロ選手もね」
「八条リーグでも?」
「そっちでもね」
 八条グループの運営している日本のもう一つのプロリーグでもだ。
「沖縄を本拠地にしているチームもあるじゃない」
「沖縄サーペントだね」
「あそこもね」
「Bクラス多いかな」
「リーグの中じゃね」
 どうしてもだ。
「日本一になったことはあるけれど」
「全チームその経験あるじゃない」
 八条リーグは伝統的にどのチームも戦力が拮抗していて連覇は非常に少ない、その中でそれぞれのチームが日本一になったことがあるのだ。
「そうだよね」
「まあね」
「だったらね」
「それもだね」
「一緒だし」
「むしろBクラスが多いのが」
「気になるよ」
 沖縄県民としてはというのだ。
「もっとね」
「頑張って欲しいんだ」
「うん、親会社の八条水産にも力を入れてもらって」
 そうしてというのだ。
「頑張って欲しいよ」
「あそこはね」
 僕は親会社の話もした。
「頑張ってるよ」
「チームの方にも」
「それで選手も監督も頑張ってるよ、ただね」
「その頑張りがなんだ」
「最近実につながっていないっていうか」
「つまりあれかな」
 安座間君は僕の話を聞いてこう言った。
「ちょっと前までの広島東洋カープ」
「うん、近いかな」
「じゃあ今は耐える時かな」
「そうじゃないかな」
 こう安座間君に答えた。
「強いて言うならね」
「そうなんだね」
「まあそうした時もあるから」
「仕方ないかな」
「そうだろうね、そうした時期もあるよ」
 野球のチームにもだ、企業でも人でもそうした所謂雌伏の時はあるだろう。巨人はいつも優勝して当然だと勘違いしていたけれど。
「だからね」
「今はだね」
「努力をして」
 そのうえでだ。
「また日本一になる時をね」
「待つんだね」
「それがいいと思うよ
「わかったよ、野球はね」
「そういうことでね」
「我慢するよ」 
 こちらはとだ、安座間君は僕に少し残念そうに笑って答えてくれた。 
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