八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百六十九話 沖縄とはその十五
「今じゃね」
「そうしたテロには賛成とか言っていたな」
「アメリカのあれね」
「それでいて日本のそうした法律には反対だ」
「絶対におかしくなっているわね」
「ああなると人間として終わりだ」
井上さんは最大限の軽蔑を込めて言い切った。
「あの御仁は終わった人だ」
「人間として」
「ああなってしまってはな」
「信条によってテロを賛成と言って」
「逆に同じ口で反対と言うなぞな」
「確かに人間として終わってるわね」
日菜子さんもこう言った。
「どうしようもないわね」
「全く以てだな」
「ああはなりたくないわね」
「本当にな。恥を忘れたとしか思えない」
「お父さんに言われたわよ」
日菜子さんはあらたまってだ、井上さんと僕に言った。
「恥を恥と思わなくなった時最も恐ろしい腐敗がはじまるってね」
「その言葉僕も親父に言われました」
僕は日菜子さんにすぐに言葉を返した。
「そうなるって」
「そうよね、恥知らずな人はね」
「何処までも酷くなりますよね」
「そうなるわね、あの漫画家さんが批判していた人もそうだったけれど」
「あの漫画家さんもですね」
「そうした人になったのね」
堕ちた、そう言うべきか。
「今は」
「そうでしょうね、ああなるともう」
「どうにもならないわね」
「どんどん堕ちて」
本当にそうなってだ。
「後はね」
「もう悪い結末しかないですね」
「バッドエンドよ、どうせあの漫画家さんも沖縄のことを真剣に考えてないでしょ」
「運動ですね」
「もう完全に運動家だから。若しあの反対派が今以上のことをしても
それこそテロでもだ。
「それを取り締まったら言うんでしょうね」
「そうでしょうね、絶対に」
「腐った人になったわね」
「人間よくも悪くも変わりますね」
「ええ、けれど悪く変わりたくはないわね」
日菜子さんは心から言った、僕もこのことがよくわかった。
「いや本当にね」
「ああはなるまいですね」
「今のあの人は反面教師よ」
そのああはなるまいという人だ、人間としてそうなってしまってはおしまいだという人に他ならない。
「まさにね」
「そうですね」
「以前の自分自身をかなぐり捨てて」
「自分が嫌いな人達になり果てて」
「それでも変わっていないとか力説する」
「そんな人になって」
「もうそう思うしかないわよ」
反面教師になり果てたとだ。
「見たくもない感じよ」
「しかし見るな」
「ええ、ああはなるまいって思う為にね」
井上さんにもすぐに答えた。
「見ていくわ」
「そうする、私もな」
「同じね、そのことは」
「みっともないことこの上ない」
「見たくもないけれど」
「反面教師としては最適だ」
まさにそうした人だというのだ。
「本気であんな輩にはなりたくないからな」
「ああなったらね」
「私達にそう思わせるだけで存在価値はあるがな」
「あるの、存在価値」
「だから反面教師としてだ」
その立場からというのだ。
「ある」
「そんな存在価値もあるのね」
「人間にはな」
「いいか悪いかは別にして」
「そうだな、しかし自分がそうなることはな」
「絶対に避けないとね」
「全くだ、基地の前で騒いでいる連中といいな」
この人達も当然の様に入っていた。
ページ上へ戻る