八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百六十九話 沖縄とはその十三
「遥かに多くの人がいてだ」
「沖縄の色々なことをお話してるのね」
「それは知っていると思うが」
「まあね、ただ今はね」
「どうしてもか」
「そう、新聞を読んでたから」
それでというのだ。
「何で沖縄のマスコミはって思ったのよ」
「そうだったのか、それでなのか」
「今みたいに思っていたの」
「そういうことか」
「ええ、けれどやっぱり沖縄はね」
「基地だけではない」
「そうよね、そういえば基地反対って言ってる人は」
日菜子さんはあらためて思った。
「変な人ばかりね」
「運動家だな」
「漫画家さんでもいるけれど」
「あいつか」
「そう、あの福岡生まれのね」
日菜子さんはその漫画家さんについて出身地から話した。
「ゴーマンとか何とかいう」
「あいつはもう駄目だ」
井上さんはあいつ呼ばわりで言った。
「もうな」
「駄目になった人ね」
「運動家を批判していた筈だがな」
「沖縄にいるみたいな」
「それが何時の間にだ」
それこそという言葉だった、井上さんの今のそれは。
「運動家と同じになっている」
「その主張がね」
「その他の主張もだ」
沖縄以外のそれもというのだ。
「全部だ」
「運動家のそれになってるのよね」
「それで変わっていないと言うが」
「変わったわよね、あの人」
「もうな、自分が忌み嫌っていた連中と全く同じになっている」
「それギャグよね」
「元々はギャグ漫画を描いていたしな」
その漫画家さんは僕も知っている、確かに元々はそちらで有名で二作位大ヒット作と呼ばれる作品も描いている。
「もうだ」
「自分で、なのね」
「ギャグをやっている」
「何かそれってね」
日菜子さんはその話を聞いてこう言った。
「ギャグっていうか」
「何だ」
「滑稽よね」
それになるというのだ。
「本当にね」
「そうだな、何があったかは知らないが」
「自分が嫌いだった相手と同じになるって」
「その主張がな」
「完全にギャグね」
「自覚はしていないのかと思うがな」
「あの漫画家さんは私もね」
日菜子さんは眉を顰めさせてこう言った。
「もうね」
「嫌いか」
「好きになれないわ」
日菜子さんらしく少しオブラートに包んだ表現だった。
「もうね」
「そうか、私は大嫌いだ」
「そうなの」
「己の考えが変わることはある」
「人間にはね」
「しかし自分が忌み嫌っていた相手と完全に同じ主張になるなぞだ」
しかもその主張を批判していたのにだ、僕もその漫画家さんは知っているけれど同じ人とは思えない位主張が変わっている。
「有り得ない、しかもだ」
「しかも?」
「そのことへの反省が見られない」
それがというのだ。
ページ上へ戻る