八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十九話 沖縄とはその一
第百六十九話 沖縄とは
僕は香織さんと詩織さんと三人で屋上でお弁当を食べてから図書館に行くことにした、この時に二人に誘いをかけた。
「これから図書館行く?」
「図書館って何処の」
「何学科の?」
八条学園は幾つもの学科があってそのそれぞれに図書館がある、普通科に商業科、工業科、農業科、水産科の合わせて五つだ。特に普通科の図書館が大きくて総合図書館とさえ言われている位の大きさだ。
「何処行くの?」
「何処の図書館なの?」
「普通科の方だけれど」
僕は二人にそこだと話した。
「ちょっと新聞を読みにね」
「新聞って今朝読んでなかったの?」
「八条荘で」
「ちょっと読みそびれたんだ」
二限目が終わってから気付いた、今朝は読んでいなかったとだ。
「それでね」
「今からなのね」
「普通科の図書館で読むのね」
「阪神が勝ったことは知ってるけれど」
ノーヒットノーランは本当に気持ちよかった、藤浪投手にはこれからもこの調子でどんどん勝っていって欲しい。
「ちょっと漫画をね」
「ああ、四コマ漫画ね」
「それ読んでなかったの」
「八条新聞のね、毎朝読まないとね」
新聞には付きもののそれをだ、朝日新聞で言うサザエさんみたいに長く続いている安定した面白さの漫画だ。
「何か収まりがつかないし」
「それでなのね」
「今から」
「読みに行くつもりなんだけれど」
僕はここで一呼吸置いて二人にあらためて尋ねた。
「一緒に行く?」
「ううん、私はちょっとね」
「私もね」
香織さんも詩織さんも微妙な顔で僕に答えた。
「今日日直なの」
「私もなの」
何と二人共だった。
「それでお昼やることあるから」
「だからね」
「残念だけれど」
「今日のお昼はね」
図書館には行けないという返事だった。
「だからね」
「残念だけれど」
「それじゃあね、じゃあ僕だけで行ってくるよ」
そうした理由なら仕方なかった、それに行くといっても漫画を読むだけで大した理由でもないしそれならだった。
僕は一人で図書館に行くことにした、そうして実際に二人と別れてそのうえで普通科の図書館に向かった。
それ自体が校舎の図書館に入った、三階建てで一階は沢山の部活の部室があって三階は視聴覚室で図書館は二階にある。
その二階に行って新聞のコーナーに行くとだった。
日菜子さんが席に座って新聞を読んでいた、それで僕はその日菜子さんに声をかけた。
「新聞読まれてるんですか」
「ちょっとね」
日菜子さんは僕に難しい顔で答えてくれた。
「沖縄のことでね」
「日菜子さんの生まれ育った」
「そうなのよ、また基地で揉めてるでしょ」
「はい、今も」
「いつものことだけれどね」
沖縄ではというのだ。
「また基地のことじゃない」
「新聞やテレビで言ってますし」
「それで新聞で読んでるけれど」
「八条新聞ですね」
「ええ、この新聞は普通に書いてるけれど」
沖縄の基地のことをというのだ。
「新聞によってそうじゃないから」
「テレビでもですね」
「酷い新聞やテレビになるとな」
井上さんの声がここでしてその井上さんも僕達のところに来た。
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