八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十七話 破傷風その十二
「阪神の為にこれまで結構親身になってこられてるから」
「じゃあお祓いも」
「されてきたのかしら」
「それはもうやってないから」
こう思った、あの方ならと。
「それでもね」
「あの有様なの」
「ここぞって時に負けるの」
「祟りとか呪いみたいに」
「そうなってるの」
「そうかもね、あそこの魔物とケンタッキーのおじさんと怨念は」
しかも三つもある。
「魔王みたいなものかな」
「魔王って魔界の」
「悪魔のボス格よね」
「ああ、聖書の魔王と違ってね」
ソロモン王が操っていた七十二柱の魔神達とはまた違う、日本では元々魔王は悪魔とは違った存在だった。
「怨霊の総大将だね」
「っていうと軍記ものとかに出て来る」
「あのとんでもなく強い怨霊ね」
「そういえば日本にも魔王いたわ」
「正直悪魔のボスより強くて怖いわね」
「もうその強さたるやね」
どう見てもだ、僕の主観では。
「悪魔のボスよりも凄いから」
「もう世を徹底的に乱す」
「そんな風よね」
「怨念の力が凄まじくてね」
天神様にしてもそうだ、菅原道真公も魔王だったか。とにかくその怨念は歴史に残っている位凄まじい。
「明治維新でも明治帝が真っ先にされたことはね」
「魔王を鎮めること?」
「それだったの」
「元々平安京もそうした造りだったし」
桓武帝の弟君早良親王の怨霊、魔王と化されたこの方の怨念を避ける為だったという。
「明治帝もね」
「維新になってなのね」
「まずそれをされたのね」
「うん、人の怨念って怖いからね」
今話に出た高校野球での血と汗と涙のそれもだ。
「ちょっとやそっとのお祓いじゃね」
「鎮められないの」
「そうなのね」
「そうかもね、そう思えてきたよ」
「じゃあケンタッキーのおじさんって魔王だったの」
「魔物も」
「かもね、人は殺さないけれど」
流石にそれはないと思う、野球のことで。
「相当強い怨念だね」
「高校野球のもね」
「そっちでもね」
「全く、甲子園はいい球場だけれど」
あの自惚れの塊というか自惚れそのものである巨人ですら東京ドームを日本一の球場と言わない位だ。甲子園が日本一とだ。
「けれどね」
「祟りも凄いのね」
「憑いてるのが」
「そのせいかな、もう練習とかの域超えてるよ」
勿論補強もだ、兄貴さんの超変革は正しくても。
「一連の負け方見ると」
「じゃあ油断したら」
「その時点で暗黒時代に逆戻りとか」
「そういう展開も有り得るのね」
「阪神の場合は」
「他のチーム以上にね」
このことはファンの誰もが内心恐れている、しかも阪神が暗黒時代に入ると随分と長く続いてしまう。
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