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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百六十七話 破傷風その八

「もうね」
「今もだからね」
「二位とか三位で出ても」
「負けるからね」
「ほぼ確実にね」
「他のチームはそれでも勝つのに」
 阪神を破ったロッテも日本ハムも西武もそうだった、セリーグでは中日や横浜がそれやってみせている。そして実は。
「阪神もね」
「やることはやったわよね」
「巨人を倒してね」
「それでもね」
 そうして目出度く出た日本シリーズでだ。
「その三回の優勝をフイにしたソフトバンクに」
「最初に勝ったけれど」
 この時は本当に嬉しかった、けれど。
「後はね」
「四連敗したわね」
「最後抗議の上で胴上げだったよ」
 ソフトバンクの胴上げだ、秋山幸二監督がユニフォームを脱ぐ試合でもありまさに有終の美だった。
「あんなこともないよ」
「やっぱり阪神呪われてるわよ」
「そうよね」
 詩織さんも香織さんも言ってきた。
「そんな風になるって」
「普通のチームはないから」
「そんな負け方もしないし」
「他のチームはね」
「そうだろうね、昔ヤクルトと優勝を争った時も」
 僕は生まれていないけれどその目に焼き付いているのはユーチューブの動画と語り継がれてきていることだからだ。
「あと一歩でね」
「負けたのよね」
「そうよね」
「うん、ホームランがツーベースになったり」
 エンタイトルのだ。
「まさかのフェンスの一番上に当たっての」
「それもないわよ、普通」
「滅多にね」
 ボールがそこに当たるなんてだ、あと数センチでホームランになるかフェンスの前の方に当たって跳ね返るからだ。
「ないよね、それになってね」
「その試合引き分けだったわね」
「そうだったわよね」
「その引き分けが仇になって」
「後々まで響いたのよね」
「それで負けたんだ」
 丁度新庄さんや亀山さんがいた頃のことだ。
「その前は甲子園の最終戦でね」
「巨人に負けたのね」
「よりによって」
「それも惨敗」
「九点差完封負けよね」
「この時はファンの人達が激怒して」
 そこで勝てば優勝だったのに最後の最後で本拠地しかも巨人に負けたからだ、よりによってよくこんな舞台が整ったものだ。
「グラウンドに雪崩れ込んだよ」
「そりゃそうなるわよ」
「よくそんな負け方したわね」
 二人もそう思うことだった、誰だってこう思う。
「もう伝説になってるけれど」
「酷いわね」
「その酷い負け方をしてね」
 それでだ。
「このことも今も言われてるんだ」
「それもないし」
「最後の最後でそれは」
「絵になり過ぎでしょ」
「いいか悪いかは別にして」
「だから球史にも残ってるよ」
 この昭和四十八年の最終戦もだ、ヤクルトとのデッドヒートも三十三対四も抗議の横での胴上げも全部だ。 
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