真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚
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インテグラル・ファクター編
休日の過ごし方
「ビーチだな」
「ああビーチだ」
第52層。真夏のような気温と海のエリアであるこの層は一週間前に到達した層だ。この層に到着して間もなく47層と並ぶ人気デートスポットとなった。……っていうかさ
「俺たち前回攻略に向けて一直線!戦いはこれからだ!……みたいな感じで終わったのに何でこんな所で油売ってんの」
「だってアスナ達に偶には休日が必要だって言われて、ここに集合って言われちゃったからさ。それに作者が書いてないだけで俺たちはあれから7層分も攻略を進めたワケだし、新武器の『エリュシデータ』も50層フロアボスのLAでゲットしたしな」
「まあ俺も50層のフィールドボスのLAで手に入れた新武器『クラレット』もゲットしたし俺たちはしっかりやってましたから」
「二人して誰に言い訳してるの?」
俺たちが振り向くと、そこにはコハルとアスナが怪訝な顔でこちらを見ていた。とりあえず適当に誤魔化すことにした。
二人は白を基調にした鎧とアスナは赤いスカートを。コハルは白のスカートを履いており、形も少し違っていた。
「アヤトと会うの久しぶりだね!」
「そうか?攻略会議とかフロアボス戦でいつもあってるだろ?」
「もーっ!そういうのじゃなくて!こうやって……二人で過ごす時間というか……」
「え?なんて?」
「な、なんでもない!それよりさ!折角の休日だし今日はたくさん遊ぼ!」
コハルは俺の手を取ると街の中に入っていった。
SAOは元々アクションRPGだけでなく様々な方面の楽しみ方ができる。例えば料理や釣り、スポーツもできるしアミューズメントパークまで展開されている。もちろん大前提がアクションRPGなのでこれらが体験できるのは限られた層にしかないのだが、この52層もそういった娯楽が集まった娯楽層なのである。とはいえ、もちろんこの層にもダンジョンやフロアボスの部屋は存在する。しかし、ほとんどがこういった娯楽施設で埋め尽くされている為にダンジョンの数は他の層に比べて少ないのも特徴だ。
そうこうしているうちに俺たちはブティックに着いた。
「まずはここで水着を買うよアヤト!」
「二人とも水着持ってなさそうだしいいよわね?」
俺たちの返事を聞くことなく二人によってブティックに引っ張られた。……なんだろう。女の子に引っ張られて行くのってなんだか複雑だな。
気を取り直してブティック内をぐるっと見渡すとかなり大きい所であることがわかる。はじまりの街とかに比べてどちらかというた現代に近い構造だった。
「じゃ、じゃあ私たちは水着を選んでくるから決めたらここで集合ね!」
俺たちを置いて二人は女性用水着コーナーに行ってしまった。なんかやけに楽しそうに話してるけどさ
「コハル達女の子がワイワイ水着を選んでるシーンがあるのは分かるけど、俺たち男同士で水着コーナーで水着探すのって絵的にどうよ?って感じだよなぁ」
「俺元々ぼっちだったしひきこもりだったからこういうところは慣れてないしな」
とりあえず俺たちは適当に水着を選び籠に入れておく。
やる事もないし俺たちは集合場所に行って女子二人を待つことにした。
「お!キリトにアヤトじゃねぇか!珍しいなこんな所で」
「ん?クラインじゃないか」
「お前こそこんな所で何やってんだよ」
「俺はここで水着を買ってビーチでナンパするんだよ!どうだ?お前さん達もやるか?」
「やらないよ……」
相変わらずクラインは何をやっているのやら……確かにリゾートスポットでもあるこの層ならナンパは出来そうだけど、女性プレイヤーはただでさえ少ないこのゲームで出会いを求めるのは難しいと思うけどな。
「で、お前さん達はこんな所で何をやってんだ?男二人で水着を買いに来たって感じでもねぇだろ?」
「ああ……そn『おまたせキリト君、アヤト君』」
戻ってきたようだ。クラインは口を開けて驚く。
「あ、クラインさん!お久しぶりです!」
「久しぶりだなコハルちゃん!いやぁまさかアスナさんとコハルちゃんがいるなんて思いもしなかったッスよ。二人も買い物で?」
「はい!そこのキリト君達も一緒です。今日は攻略の休日なんです」
「へ〜じゃ、じゃあ俺も……『クライン俺たちは先を急ぐからまたな!アヤト行くぞ!』ああー!」
俺たちはさっさと水着を買うと、ビーチに向かった。
ビーチには更衣室があり、二人と別れて水着に着替える。
「先に更衣室前で待っててってさ」
「まあ女の子は色々準備が必要なんだろ」
5分後アスナとコハルが更衣室から出てきた。
「「おまたせ二人とも!」」
アスナは赤い水着で、胸と胸の間にリボンが付いているものだった。
コハルは白とピンクのストライプの水着で腰にはパレオを巻いていた。
「キリト君。感想をまだ貰ってないんだけど?」
「お、おお……アスナって着痩せするタイプなんだな」
「もう!こういう時は素直に可愛いって言うところよ!まったく。はい、もう一回!この水着どう?」
「か、可愛いと思うよ」
「よろしい!」
と、そんなやり取りを横目で見てると目の前のコハルもモジモジしながら
「アヤト。ど、どうかな?」
と聞いてきた。ふぅ……危なかった。危うくキリトと同じ感想を言って地雷を踏みそうだった。つーか俺も女の子と海に行くみたいなイベントは臨海学校程度だ。早速返す言葉についてだが、可愛いって単語を言うのはちょっとハードル高いし……よし!
「よ、よく似合ってると思うよ」
「ほ、本当……?よかった!じゃあ行こっか!」
俺たちは早速海に入った。冷たいな。ゲームの中なのにまるで本当に海にいるみたいだ。
「冷たくて気持ちいいねアヤト!ゲームの世界とは思えない!」
「ああ。茅場晶彦は腐っても天才なんだって思い知らされるよな。……うわぷっ!!」
「あはは!アヤトに水かけちゃった!」
「くそ、やったな?そらそら!」
「キャー冷たい!」
俺たちはお互いに水を掛け合う。……久しぶりだな。こんなに楽しいのは。
「二人共楽しそうだな」
「私たちも混ぜてもらおうかしら?そりゃ!」
「うわぁ!やったなアスナ」
「ふふん。キリト君が隙だらけなのが悪いんですよーだ。きゃ!」
アスナとキリトも水の掛け合いが始まった。それから十分堪能した俺たちはコハルの出したビーチボールを使って水中バレーをはじめた。俺とコハルのチームとキリトとアスナのチームに別れて試合が始まった。
「いくよっ!それ!」
コハルのサービスからキリトのレシーブ、アスナのスマッシュを俺がブロックする。
「アスナ!頼む!」
「任せて!」
ブロックしたボールをレシーブによって俺たちのゾーンに運ぶ。すると風が吹きボールの落下地点が変わる。ボールは俺のいた場所から大きく横にずれてしまった。
「しまった!」
「大丈夫!私がいくよ!」
コハルがボールの落下地点に向かう。そしてボールを叩いて俺にパスを出した。俺はそのまま直接スマッシュを打ち、キリト達のゾーンに入れた。
「やったねアヤト!」
「おう!コハル」
俺たちはハイタッチをして喜ぶ。そして俺たちとキリト達の白熱した戦いは続いたが、結果は負けてしまった。
「よし!俺たちの勝ちだな!」
「やったねキリト君!」
「ああ!俺、現実じゃあまりこういったスポーツはやらなかったけど意外に楽しいんだな!」
キリトはうんうんと頷く。
「うーん負けちゃったねアヤト」
「仕方ないよ。勝負だしな。……ん?」
「どうしたの?」
俺は砂浜の方を見ると何やらイベントが始まるようだった。
俺たちは一度砂浜に上がってそのイベントの概要を読み上げた。
「ペアによる"ビーチバレー大会"?」
「優勝者には100000コルと経験値かぁ!ね!ね!やろうよキリト君!」
「そうだな!せっかくだしやってみるか!」
「私たちも参加しようよ!」
「そうだな。ここで二人にリベンジしよう」
そして大会は始まった。参加者は30人程で男女ペアのチームと男同士のチームがあり、男同士のチームが向ける男女ペアへの視線は凄まじくまるで親でも殺されたのではないかって程睨んでいた。
すまん。SAOに来る前ならそっち側だったけど今はコハルがいるからな。いや、つーかキリトへの視線が一番強い気がする……。
「な、なぁアヤト。この殺気じみた視線って……」
「ああ間違いなく野郎同士で組まざるをえなかった連中のだろうな」
「やっぱりそうか……アヤトに向けられてる視線ヤケに強くないか?めちゃくちゃ感じるけど」
「いや、これはおそらくお前へのだ」
お互いに同情の視線を交わすと各々のパートナーの元に戻った。
「あ、お帰りアヤト!もうそろそろ私たちの一回戦が始まるからいこ!」
アナウンスで呼ばれると、俺たちはコート中に入った。
「お?まさか一回戦目はお前さん達と戦うことになるとはな!」
「クライン!?どうしてここに?まさかパートナーを見つけたのか……?」
「あたぼうよ!この方こそナンパで俺が捕まえたパートナーのロザリアさんだ!」
「「えー!?」」
現れたのは赤い髪とそれに負けないぐらい赤い水着を着た女性だった。あのクラインに女性のパートナーか……未だに信じられないな。←失礼
「ロザリアさんよろしく頼んますよ!」
「え、ええ……(なんで私がこんな事しなくちゃいけないのよ!……確かに初めてナンパされてビックリして舞い上がっちゃったのはあるけど……)」
ロザリアと呼ばれた女性はボソボソ何かつぶやいていたがよく聞こえなかった。そうしていると試合開始のホイッスルが鳴った。
この後どうなったかはまた別の話。
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