龍天使の羽撃き
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04
ゲートをくぐり、目的の宙域へ出る。
正面にはコロニーが見える。
「あー…怒られるな」
既に遅刻一時間。
御冠だろうなぁ…
そう思った瞬間、嫌ぁな予感がして回避行動を取る。
半秒前までいた場所に二条の光線が突き刺さる。
「ライトニング…アイツらまで乗せたのか…」
今度は六条のビームが俺を焦点にして収束する。
「バエル・ゼブル…カトラスか…」
俺が待ち合わせをしていたのは三人。
今撃ってきたのは二人…あと一人は…
Caution! Caution!
「高エネルギー反応…これはΩライフル?
6時…後ろからだと!?」
コロニーから出てゲートの後ろに回り込んでたのか!?
「Iフィールド!」
アームドアーマーDEが展開し、Iフィールドが発生。
背部から迫るビームはIフィールドに阻まれ、熱量が届くことは無かったがその運動エネルギーは伝わった。
カンヘルが思い切り前方へ押し出される。
「やべっ!?」
姿勢を立て直した時には、ライトニングがあと数秒の位置にまで来ていた。
AGEⅡEⅢライトニング。
その速度は凄まじい。
作った俺が言うのだ。あれを越える速度はもう光の翼以外には無いと。
なんせ足をメガライダーのブースターユニットに換装しているのだ。
更にはリゼルCやFA-フレズヴェルグのブースターまでもミキシングしてある。
元々速度特化のAGEⅡだ。
どれだけの速度かは乗ればわかる。
ライトニングが突っ込んでくる。
その加速のまま、その質量を乗せて。
機首のドッズランスで数々の敵を貫いてきた最速の槍……。
「その戦法を教えたのは誰だとおもっているんだメティ!」
そして、俺が構えた刹那…
ライトニングが変形を解いた。
「なに!?」
ライトニングはその慣性のままこちらへ、来て…組み着かれた。
「ぐおっ!?」
『やっほー隊長。遅かったの』
正面に開いたウィンドウには、天使の羽と環をもった銀髪ポニテの幼女が写っている。
「仕事だ仕事。土星圏までマスダイバー追ってたんだよ。
土星の環の中を探しまくるハメになって少し片付けるのに手間取った」
『へー。ならしょうがないの。でも葵お姉ちゃん怒ってるの』
「どうせポーカーしてたんだろうが」
『すごいの!なんでわかったの?』
案の定かよ…。葵のカモにされた奴には同情しかないな。
まぁ、遅れた俺のせいだが。
『あー!ずるいの!林檎ばっかり兄様にくっついてるの!』
ウィンドウが開いて、メティと同じ声がコックピットに響く。
隣のウィンドウとまるで鏡映しのように同じ容姿、同じ声。
ただしこっちは長い髪を結んでいない。
「サンディか」
後ろに目をやるとバーニングガンダムカスタム-ガンダムヘルメシエルが高速航行にて接近中だった。
ヘルメシエルはバーニングガンダムに飛行用可変ユニットを無理やり取り付け、可変機に仕上げたいわば力業の機体だ。
推力確保の為にスラスター、ジェネレーター、プロペラントタンクを大量装備している。
ちょっとやり過ぎたそのカスタムによってライトニングとまでが行かずともかなりの速度を誇る。
「ん…?速すぎない?」
相対速度がやばい事に…
『あ、たぶん私が隊長にぶつかったせいなの』
「絶対それが原因だよ!」
スラスターを吹かしてライトニングから与えられた運動エネルギーを殺す。
そこら辺で、後方から衝撃がきた。
「おっふ…すげぇ衝撃…」
ライトニング程じゃないがヘルメシエルも高速可変機だしな…
『じゃぁ兄様を「れんこー」するの』
は?
『葵お姉ちゃんが兄様を捕まえたらリアルでアイスおごってくれるの』
『隊長。アイスのためなの』
そうかそうかそういう事か。
AHAHAHAHAHA…………FA◯K ‼
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