八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十六話 長くなってきた夜その十一
「オーストラリアの海じゃ多いですよね」
「鮫の巣」
文字通りそうだという返事だった。
「南洋全体が」
「ポリネシアとかもですね」
「そう、もう鮫だらけで」
「下手に泳いでいたら」
「すぐに来る」
その鮫達がというのだ。
「しかも大きなのが」
「ホオジロザメとか」
「あと他の鮫達も」
人食い鮫といっても種類は色々だ、ホオジロザメだけじゃなくてアオザメやヨシキリザメ、シュモクザメやイタチザメが怖い。
「いてそうして」
「海で下手に泳いでいたら」
「襲われる」
そして食べられるとのことだ。
「だから怖い」
「日本でもいますけれどね、鮫」
「そうよね」
「瀬戸内とか多いですよ」
あの江田島のある瀬戸内海だ。
「鮫は」
「そうなの」
「結構あったかい海なので」
「海が温かいとね」
「どうしても鮫が多いんですよね」
鮫は元々熱帯の魚だ、だから温かい海には多いのだ。それでオーストラリア近海それにカリブ海には多いのだ。
「何か海自さんも鮫が出たら泳がないそうです」
「泳いだらそれこそ」
「大変なことになりますよ」
鮫に襲われてなのは言うまでもない。
「幹部候補生学校もです」
「あそこもなの」
「そうです、鮫が出たら」
その時はというのだ。
「遠泳も中止になります」
「実際になったの」
「そうした年があったそうですよ」
こうエリザさんに話した。
「折角練習をしてきたのに」
「それがなの」
「もう鮫が出て来たってせいで」
「中止なのね」
「そうなるみたいです、あそこの鮫も大きいですからね」
瀬戸内の鮫達もだ。
「シュモクザメ出るそうです」
「あの鮫ね」
「オーストラリアの方にも出ますよね」
「ハンマーヘッドシャーク」
エリザさんはシュモクザメを英語名で言った。
「あの鮫は大きい、そして怖い」
「人食い鮫ですからね」
トンカチみたいな頭をしてその左右の端に目がある、物凄く目立つ外見なので覚えやすい鮫である。
「あの鮫も」
「あれがあそこに出て来るの」
「それで時々騒ぎになるんです」
「自衛隊の遠泳も禁止になる位に」
「そうなんですよ」
「日本にもそうした鮫がいるの」
「沖縄とか九州の西の方も多いみたいですね」
こうしたところにも結構出る、特に沖縄の方は多いみたいだ。
「どうやら」
「実際多いわよ」
沖縄人の日菜子さんが言ってきた。
「沖縄の方はね」
「やっぱりそうですか」
「だから泳ぐ時は結構気をつけてるわ」
「そうなんですね」
「ホオジロザメとか出たら」
それこそだ。
「大騒ぎよ」
「そうでしょうね、あの鮫は特に」
「私は出たの聞いたことないけれど」
「出たら本当に怖いですよね」
「オーストラリアは出る」
エリザさんはぽつりと言ってきた。
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