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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百六十六話 長くなってきた夜その九

「ミズダコなぞは」
「それそうなんだよね」
「大きくて危険ですわね」
「日本の図鑑じゃ書いてないから」
「ミズダコが危険と」
「どうして食べたら美味しいとは書いてあるよ」
 そのミズダコもだ。
「壺入れてたら簡単に捕まるし」
「だから怖くありませんの」
「完全に食べもの扱いだよ」
「人を襲い殺す様な蛸でも」
「ミズダコをそうした蛸って思ってる日本人いないから」
 それこそ殆どだ。
「特に大阪だとね」
「たこ焼きですね」
「ミズダコはたこ焼きには向かないから」
「では焼いたり茹でたり酢に漬けたり」
「そっちかな、あとお刺身だね」
「どれにしても食べますのね」
「それも美味しくね」
 図鑑でも完全にそうした扱いだ。
「どの蛸もそう書いてるから」
「ヒョウモンダコは」
「あの蛸は別です」
 エリザさんにはこう返した、あの青と黄色の見るからにこれは怪しいと思える蛸である。実は小さい。
「中に毒ありますよね」
「噛んでも毒ある」
「それは別ですから」
 この蛸はだ。
「しかも河豚と同じ毒ですよね」
「そう、テトロドキシン」
「そんな蛸は別ですから」
 このことを断った。
「毒のある蛸は」
「日本人も食べないの」
「はい」
「河豚は食べるのに」
「そりゃ同じ毒ですけれどね」
 河豚の毒もテトロドキシンだ、相当な猛毒だ。
「毒のない部分もありますから」
「そこを食べるの」
「しかも美味しいですから」
 この味は折り紙付きだ、河豚は本当に美味しい。
「食べるんです」
「そうなの」
「ただヒョウモンダコって全身に毒がありますよね」
「そうみたい」
「それじゃあですよ」
「日本人も食べないの」
「確実に死にますから」
 食べたらそれでだ。
「そんなのは幾ら何でも」
「日本人でもなの」
「食べないです」
「全身に毒があったら」
「どうしようもないですよ、それに」
 僕はエリザさんにさらに話した。
「あの蛸まずいんじゃないですか?」
「多分」
「そうですよね、やっぱり」 
 毒があるだけじゃなくてだ。
「外見見ただけで思います」
「それで食べないの」
「はい」
 またエリザさんに答えた。
「ヒョウモンダコは」
「蛸をよく食べても」
「食べないですよ、あの蛸は」
「日本人ならと思ったけれど」
「どうしようもないですね」
 猛毒があってしかもまずそうとあってはだ、この場合猛毒の場合がより問題になるけれど味のことも思った。 
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