| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Fate / the beelzebub comes.(魔王来たりて)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第4話 敵情視察

 
前書き
コツコツ引越し継続中。 

 



「・・・ん?」

使い魔に拠点の探査を続けさせていたシリウスは、

突如脳内に映った不可解な映像を理解できず、しきりに首を捻らせていた。

「どうなってるんだ・・・・?」















(シリウスサイド)

「どうなってるんだ・・・・?」
今、俺の脳内に使い魔からの映像が流れて来た。来たのだが・・・

「どうなさいましたの?」

「・・・いや、・・・使い魔からの映像が流れてきたのは良いんだが・・・」

「敵サーヴァントを発見したのですか?」

「・・・と言うか、現在進行形で敵陣営を建物ごと殲滅中だな(汗)」
一羽の視界を共有すると、同時にその使い魔の感情も流れ込んで来る。

―――怒憎―――殺――滅―――――――――――

――――――殺アァッテヤルゼ―――――――


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)

何でやねん。

・・・・んんっ!・・・奴さん、相当怒り狂ってるみたいだな(汗)
結構ヤバいかも知れん・・・・・・・・主に敵が。

「・・・一体何が起きているのですか?」

「実はさっき放った使い魔の奴らに何かあったらしいんだが・・・アイツらの感情が高ぶってて混線してるから、
 ちょっと状況が分からんのだよな。ま、詳細はアイツらが帰って来てから聞く事にしよう。
 まだまだ、確認していない地域もある事だしな。」

アイツらが殺られる心配は、まず無い。
何故なら俺の魔力供給の許す限り、奴らは再生・分裂するからだ。

因みに、アイツらの好物はフライドチキンだ。
本来なら魔力供給さえあれば、食事は必要無い筈なんだが・・・・

こと、フライドチキンを目の前にすると文字通り目の色が変わる。
餌をやる俺が一瞬でも命の危険を感じた程だ(汗)

後、真夜中―――午前0時以降に物を食べさせる事も駄目だ。
ある変化が現れて手が着けられなくなる。

何?どんな変化だと?
言っておくが・・・間違っても試そうなどとは考えるなよ?

・・・命の保証が要らないならば話は別だが・・・・まぁ、骨まで残らず綺麗に(ついば)まれる事になるだろうな。

「・・・分かりましたわ、シリウス様。この件に関してはもう何も言いません。」

「・・・そうして貰えると助かる。」
脱力感に苛まれた俺を、キャスターが生暖かい視線で見詰めていた。

取り敢えず、金ピカなサーヴァント相手に殲滅戦をやらかしている奴ら以外を、
他の地脈か魔力溜まりが出来ている地域へと向かう様指示し、一旦アストラル回線を閉じた。


そして、10分程経った後、各使い魔達が竜脈又は魔力溜まりが起きている場所に到着した所で、
その地点を中心に周囲を探索させた。

  カー     カー

遠くの方で奴らの戦慄きが聞こえるな・・・

「さて、他の場所には何があるのかね?」


















(遠坂凛サイド)

―――AM 7:00―――

「ん・・・」
眩し・・・い・・・

もう・・・朝・・なの?

私は閉じた瞼に感じた強い光に、強制的に目を開かされた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・昨夜何かあった気がするんだけど・・・・何だったかしら?
ダメね・・・兎に角、何か冷たい物でも飲まないと、思考が纏まらない・・・

確か、冷蔵庫の中に牛乳があったハズ・・・

私はリビングのドアを半ば蹴飛ばす様に開けた。

「・・・ん?マスターか?
 漸くお目覚めか・・全く・・・聖杯戦争中だという自覚が、少々不足しているのではないかね?」


・・・・・・・・・・・・。


「・・・アンタ誰?」
私が突然掛けられた声に振り向くと、ゆうに180半ばはありそうな背の高い男が、
キッチンの前で悠然と立ち横目で此方を見下ろしていた。

「・・・まだ寝ぼけているのかね?マスター。
 それに、顔が女性にあるまじき凄まじい事になっているぞ?さっさと顔を洗って来たまえ。」
白髪の赤い男はこちらに背中を向けたまま、洗面所を指差した。

・・・・・・。

特に反論する思考が浮かばなかった私は素直に洗面所に向かい、未だハッキリしない顔に冷水を浴びせる。

バシャ!バシャ!

―――っ冷た!?・・・流石に、この季節の水は冷たいわね。

「・・・でも、これで目は醒めたわ。」
同時にキッチンに居た男の事も思い出した。

彼は私が昨夜召喚した弓兵(アーチャー)のサーヴァント―――聖杯戦争を勝ち抜く為の私のパートナー。

タオルで顔をふき取り、私は再びリビングへと戻った。


「・・・で、アンタは何をしてんのよ?」

「見て分からんかね?
 朝食の準備をしているのだが。」

「それは見れば分かるわ。私は、何故朝食の準備をしているのかを聞いているのよ!」

「いけないのかね?マスターの命令で先ほどまで部屋の片付けしていたのだ。
 これ位の自由は許される物と思ったのだが・・・ヤレヤレ、私にはそれすらも許されないと見える。」
アーチャーは肩を諫め、首を左右に振るジェスチャーをする。

「・・・何かムカつくわね、その仕草。」

「それよりも・・だ。マスター、君は昨夜の―――と言っても、ほんの二時間程前だが―――その時の魔力反応は感知したかね?」

・・・・・・・え?

「どうやら、その様子ではやはり気付いていなかったか・・・まぁ、召喚を行ったばかりで疲労していた事もあるのだろうが。」

「一体どういう事!?魔力反応って、どこからなのよ!!」

「落ち着きたまえ、マスター。反応があった地域は、此処から十キロ程度離れた丘にある教会だ。
 遠距離からではあるが、私が確認しておいた。」

「言峰教会・・・?なんでそんな所で・・・それに、何故遠くからなの?」

「マスターからあまり離れる訳にも行くまい。
 それにアレの周辺には妙な結界が張ってあってな、迂闊には近寄れなかったのだ。」

「そう・・・で、何があったの?」

「筆舌には尽くしがたいのだが・・・一言で言えば、とても非常識な光景だったな。」

「・・・非常識って?」

「英霊である私から見ても、常識外れな光景だったと言う事だ。」

「・・・・・・・・・(汗)」

「一瞬、太陽神アポローンの鴉か八咫の烏でも召喚されたのかと、本気で思ってしまった位だからな・・・」

「神話クラスの神獣!?全く持って笑えないわね(汗)・・・でも、聖杯戦争のシステム上、神霊クラスの存在なんて召喚出来る筈もないわ。」

「そう、だから他のマスター或いはサーヴァントの使い魔だと判断した。」

「どちらにせよ、厄介な相手のようね・・・・・・勝利が一気に遠のいた気がしたわ。」

「・・兎も角、遠目でしか確認できなかったが、恐らく魔術師の使い魔の類だろう―――ソレがサーヴァントらしき者を
 襲撃していたのを確認した。生憎、使役者の姿は確認出来なかったがね。」
アーチャーが疲れた様に溜め息を吐いた。

「襲われたサーヴァントの方もかなりの力を持っていた様だが、良いように弄ばれていたよ。」

「・・・そんなにヤバい相手なの?」

「正直、今の段階では勝機を得る事は出来まい。
 あの使い魔のマスターを見つけない限りは・・な。」

「・・・ひょっとしたら、昨日の魔力反応も関係しているのかしら・・?」

「む・・それは初耳だが、私が召喚される前の話かね?」

「ええ・・・あの異常な程の魔力――――本来、遠距離の魔力探知なんて高等技術を使えるのはキャスター位な筈なのに、私にも感知出来る程巨大な魔力だったわ。」

「・・・だとするのならば、先ずはその魔力とあの使い魔のマスターとが同一の物であるかも確認すべ―――む・・?」
アーチャーが突如、会話を切り窓を・・いや、窓の外を睨み付けていた。

「っ!!セット―――」
その尋常ならざる様子に、私は敵が現れたのかと、気を引き締め―――右手にガンドを構える。

あれは・・・

「・・鴉?」

――――そう、姿形は紛れもなく鴉。

しかし、只の鴉があれほどの魔力を内包している筈が無い!
一羽一羽の魔力反応が、下手な宝具以上だなんて――――なんて出鱈目なのよ!?

「・・・マスター、アレが先程言った例の使い魔だ。」
アーチャーは視線を逸らす事無く、赤い目を不気味に光らせる、無数の鴉達を睨み付けていた。


















(衛宮士郎サイド)

「・・・ンパイ?」


・・・う・・ん?

「・・・先輩!起きてください、先輩!」

「んあっ?・・・何だ、桜か・・・もう朝か?」
俺が目を瞬きつつ声のする方へ顔を向けると、見慣れた顔が心配げな表情を浮かべてこちらを覗き込んでいた。
彼女の名は間桐桜。俺の一年後輩の女の子で、時折こうやって俺を起こしにきてくれる妹みたいな存在だ。

もう日が上っている所を見ると、どうやら、今日は朝練は休みみたいだな。

「先輩、またこんな所で寝て・・・風邪を引きますよ?」

「ああ、すまん・・・コイツの修理してたら何時の間にか寝ちまってた。」
俺は傍らにあったストーブに手を置き、改めて中を―――特に修理した箇所を確認する。

・・・良し、ちゃんと直ってるな。

「・・・先輩?」

・・・っと、イカンイカン。
集中し過ぎてたか。

「それよりも、朝食にしよう。・・・・・あんまり待たせるとトラが目覚めそうだからな。」

「フフ・・・そうですね。」

「トラって呼ぶなぁぁぁ――――――――!!」
ガオオオオオオォォォォォォォン!!

・・・・ちょっと、遅かったか(汗)

その後、俺達は猛りまくった藤ねぇを宥めつつ、早々に朝食を食べ終えて学校に向かった。


  カー      カー

・・・今日はヤケにカラスが多いな。
何か不吉な予感がするんだが・・・

「・・・。」

「?・・・どうした、桜?」

「・・・え!?せ、先輩・・どうかしましたか?」

「いや、今、桜が凄い怖い顔してたからさ。どうしたのかな・・ってな。」

「・・・私、そんなに怖い顔・・してましたか?」

「ああ、こーんな顔してな。」
自身の目と眉毛を指で釣り上げる。

「・・・フフ、それじゃあ私はさしずめ口裂け女ですか?」

漸く桜の表情が軟らかいものへと変わった。
どうやら、少しは気が晴れたらしい。

・・・原因は分からないけど、桜にはあんな顔はして欲しくはないからな。

キーンコーンカーンコーン・・・

「あ、予鈴が鳴ってますよ!先輩、急がないと!」

「ああ、走るぞ!桜!!」

「ハイッ!」
俺達は急いで校門を潜り抜け、それぞれ自分達の教室に駆けていった。
















(シリウスサイド)

「・・・これである程度の地理は把握出来たな。」
使い魔とのアストラル・リンクを再び遮断し、俺の視界は現実に復帰した。

「・・・どうでしたか、シリウス様?良い物件はございましたか?」

「ああ、候補は何カ所かあったな。ついでに敵勢力の本拠地も大体把握出来た。」

・・・あの不気味―――と言うか気色の悪い纏わり付くような気配の漂う教会・・・確か言峰教会と言ったか?あそこは・・・一応気を付けておいた方が良いかもしれんな。

あと、同じく嫌な気配を振り撒いていた洋館・・・あの虫臭い家も念入りにチェックしておくか。

そういえば、あの赤髪の青年と一緒に居た少女も、少し同じ気配がしていたな。こちらの索敵にも気付いた風だったし。あの娘にも見張りを貼り付けておくか?

「シリウス様?どうかなさいましたか?」

「・・・いや、何でもない。」
まあ、どちらにせよ暫くは様子を見るしかないか。

「取り敢えず、候補は3ヶ所だ。一つはあの小山にある寺院。もう一つは一般人が1人で住んでいるらしい武家屋敷。最後のは西の山頂にある古びた祠だな。」
手元に立体的な映像(ビジョン)を投影しながら、候補を上げていく。

「理想的な地は、シリウス様としては何処なのでしょうか?」

「俺としては無理に絞る必要は無いと思ってるんだ。」

「どういう事ですの?」

「3つの内、1つをメインに残りの2つをサブにまわす。そして、それら全ての地点を“道”で繋ぐ。」

「・・・成る程。いざという時の脱出ルートと本拠地を破棄した際の替わりの拠点を同時に確保出来る訳ですのね。」

「それに、敵側の目をカモフラージュで誤魔化す事も出来るしな。」

「ですが、一つの拠点から他の拠点が逆探知される可能性がありませんか?」

「その点は心配いらん。コッチの魔術とは構成からして根本的に違うからな。
 もし、万が一入り込めたとしても、俺特製の迷宮空間から出られなくなるだけだ。」

「死角は無し、という訳ですわね。」

「・・・いや、穴が無い訳ではないからな。用心の為に保険はかけておくが。」
俺は懐から数個のアミュレットを取り出す。

「保険・・・ですか?」

「もし俺か、キャスター又は俺達が認知した者以外が“道”を使用しようとした場合、
 ソイツらを強制的に別の位相空間に強制転移させる。・・・俺の所有する魔獣共が跋扈するあの“庭園”にな。」

もしそうなった場合、アイツら思う存分暴れるだろうな。
最近丁度いい生贄も居なくて、鬱憤溜まってたみたいだったしな。

「全く・・・シリウス様が私のマスターで良かったですわ(汗)」

「ハハ・・・ま、キャスターは運が良かったって事だな。」

「・・・フフフ、そうですわね。」
キャスターが柔らかい笑みを浮かべながら、俺に抱きついてきた。

「お、おい?」

「フフ、まずは山頂の祠から行きましょう!」

「まったく・・・」
そのままキャスターに腕を組まれたまま、俺は候補地の一つ山頂の祠に向かったのだった。












TO BE CONECTED 
 

 
後書き
感想お待ちしてます。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧