空に星が輝く様に
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76部分:第七話 二人の仲その一
第七話 二人の仲その一
第七話 二人の仲
陽太郎と月美はこの日も同じ電車になった。そしてその電車の中で話をしていた。
「それで今度はさ」
「はい、これです」
二人は席に並んで座っている。月美は横に座る陽太郎にあるものを見せてきた。見ればそれは一枚のCDだった。それを出してきたのだ。
「この曲ですけれど」
「今それを聴いてるんだ」
「はい、いい曲ですよ」
にこやかに笑っての言葉だった。
「私椎名林檎好きなんです」
「へえ、椎名林檎好きなんだ」
陽太郎はそれを聞いて意外といった顔になった。そしてそのうえで言うのだった。
「そうは見えないけれど」
「見えませんか?」
「西堀ってどっちかっていうと落ち着いた音楽の方が似合うから」
「だからですか」
「うん、だからさ」
言葉をさらに続けてきた。
「椎名林檎っていうのは意外だよ」
「そうなんですか」
「けれど好きなんだよな」
またこのことを言った。
「椎名林檎が」
「他には宇多田ヒカルも好きです」
それもだという。
「他には最近は」
「最近は?」
「AKB48も」
今度はアイドルグループであった。
「あのグループの曲も好きですよ」
「えっ、AKBも!?」
「AKB48は愛ちゃんに薦められたんですけれど」
「またあいつか」
陽太郎は椎名の名前を聞いて思わず言ってしまった。
「あいつAKB好きだったのか」
「愛ちゃん女の子の曲好きなんです」
ここで椎名の嗜好が一つわかった。彼女のそうした嗜好は実際のところ中々わからない。彼女は自分から言うことはないからである。
「他の椎名林檎や宇多田ヒカルは前からですけれど」
「男の曲は聴かないんだ」
「布袋寅泰は好きですよ」
今度はこのアーチストの名前が出て来た。
「ジャニーズも好きですし」
「アイドルも好きなんだな」
「他には藤井フミヤも」
彼の名前も出て来た。
「色々聴きますから」
「本当に多いな。それもジャンル結構癖強いの多いよね」
「自分でもそう思います」
自覚のあることだった。
「私そういう曲が好きでして」
「成程。そうなんだ」
「斉宮君はどうですか?」
今度は陽太郎に対して尋ねてきた。彼女からだ。
「それでどんな曲が」
「まあ俺も色々かな」
陽太郎はその首を少し傾げさせてから答えた。
「色々聴くよな」
「色々ですか」
「流行の曲は何でも聴くな」
少し具体的に言ってきた。
「ラップも聴けば演歌もさ」
「そういうのもですか」
「あと昔の曲も聴くし。今さっき藤井フミヤの名前出したじゃない」
「はい」
「チェッカーズも聴くしさ」
藤井フミヤがいたグループである。長い間一世を風靡したグループだ。尚最初はアイドルグループとして扱われそうした歌を歌っていた。
「ジャニーズにしても昔の」
「マッチとかですか」
「マッチは好きだよ」
近藤真彦の仇名にすぐに反応した。
「あとトシちゃんもさ」
「詳しいですね」
「いや、やっぱり好きだからさ」
実際に好きだともいうのである。
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