魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epica20-Bインターミドルの猛者~Kaiser vs Fight's God~
前書き
あれ? 英サブタイトルが消えてる?
いや、単に書き忘れてたのか?
†††Sideアインハルト†††
「はぁぁぁぁぁッ!」
――覇王断空拳――
足先から練り上げた力を拳に乗せて打つ、覇王流の基礎・断空。私はその一撃を繰り出すため、軸足を踏ん張った。私と対峙していただいているのは、聖王教会騎士団における最強の部隊、銀薔薇騎士隊にかつて勤めていらっしゃった、拳闘において最強とされていたパラディン、アルテルミナス・マルスヴァローグさん。
「覇王流とはどれほどのものか、見せてもらおうか・・・!」
ルミナさんは私の拳を受け入れるためにグッとお腹に力を入れました。私はルミナさんのお腹へ向けて、断空拳を打ち込んだ。
「ふんっ・・・!」
本気で打ち込んだにも拘らず、ルミナさんをその場から殴り飛ばすことが出来なかった。私や先ほどまでルミナさんと闘ったヴィヴィオさん達(順番を決めるジャンケンで負け続けた私は最後です・・・)は、インターミドルの規定どおりのルールで試合をしている。
(ぐぅ、硬い・・・!)
1ラウンド4分。今回はリングを1時間貸し切っていますから、休憩を挟みつつ数ラウンドを行う予定です。試合はライフ制であり、本番の1回戦と同じ12000ポイントから。攻撃を受けた際にダメージ数が算出され、0となった時に敗北となる。さらにクラッシュエミュレートというシステムを搭載していまして、打撲・骨折・脳震盪・火傷・感電など体へのダメージが表現されるとのこと。
(実際、先ほどのリオさんとルミナさんとの闘いで、リオさんが左腕を折られてしまいました。試合が終わると同時に、骨折をした、という表現は綺麗サッパリなくなっていましたが・・・)
ですが本当に痛そうで、試合中はリオさんも堪らず涙を浮かべていましたし。その光景が脳裏に浮かんだ私は、無意識に手加減をしてしまったのでしょうか。さすがに1cmも動かせられないなんてありえないので。
「あいたた。威力はそこそこあるね。でも・・・私を吹っ飛ばすだけの力は無かったわけだ」
繰り出されるルミナさんの右拳打。私は咄嗟に首を傾げることで躱し、私はすぐさま反撃の左拳廻打を繰り出す。ルミナさんはパシン!と私の拳を右手で受け止め、私に背を向けさせるために反時計回りに回るようグイッと拳を引っ張り、そこに左裏拳打ちを顔面目掛けて繰り出してきました。私の左拳を掴んでいるルミナさんの力は凄まじく、引き離せない以上はしゃがむことで躱すしかない。
「っ・・・!」
頭上を通り過ぎるルミナさんの拳が放つ衝撃波が私を襲う。いくら魔力出力を絞っていても最強の拳闘騎士。一撃一撃が重過ぎる。しゃがみ込んだ私はルミナさんへと足払いを掛けるのですが、「ビクともしない・・・!」所為で、私の一切の行動が止まってしまった。
「ほら、こんなあっさりと攻撃を緩めちゃダメ♪」
「ひゃっ・・・!?」
またグイっと左腕を引かれた私は、ルミナさんの頭上にまで引っ張り上げられて宙で逆さまな状態となってしまった。とここで、パッと私の手が解放され、逆さまのままリングの床へと落下することに。
「さ、巧く防御するように・・・!」
落下途中の私へと繰り出されるルミナさんの右拳正打。何もしなければ右脇への直撃を許してしまうことになる。それだけは何としても防がないと、高確率で1発撃墜・・・。ルミナさんと向き合うように腰を捻って、両腕をクロスさせて防御姿勢に入る。ほぼ同時にルミナさんの拳を受け、私は「ぐぅ・・・!」リング外にまで殴り飛ばされてしまった。
「おっと。大丈夫?」
私を抱き止めてくれたのはシャルさん。私は「大丈夫です、ありがとうございます」とお礼を述べ、ルミナさんの待つリングへと再び上がる。ルミナさんは「少し休む?」と聞いてきましたが、私は首を横に振って断った。
(今の一撃。ルミナさんは何の強化もしていなかった。なのに・・・)
まともに受けた左腕が痺れて動かしづらい。クラッシュエミュレートでは打撲判定となっているようで、『ティオ。防御に専念してください』と、私の相棒である“ティオ”にお願いする。ルミナさんは強化なしで、私を一撃で墜とせるだけの攻撃力を持っています。ならこちらも一撃で墜とせるだけ打撃力を強化すれば、と考えましたが・・・。
(短期決戦はこちらのデメリットの方が多すぎる・・・)
戦技の錬度において私は、ルミナさんにとって正しく生まれたてのひな鳥。いえ、路傍の小石程度でしょう。自分でそう評してしまうほど、ルミナさんは途轍もなくすごい方だということです。
「すぅ・・・はぁ・・・。お願いします!」
「ヤー。もっと見せてみてよ、覇王流」
「もちろんです! 覇王・・・空破断(仮)!」
空気を押し出すように掌を振るい、衝撃波を飛ばす。(仮)が付いているのは、断空拳とは違い未だに完成の域にたどり着いていない戦技だから。威力もさほど無いですが、けん制としては使える。ルミナさんは避けずに、真っ向から右拳打による打撃で完璧に迎撃しました。その間にルミナさんの右側へと移動し・・・
「覇王・・・!」
断空拳を打つべく力を練り上げようとした時、「弱点突き~♪」と私に足払いを掛けてきた。ガクッと体勢を崩される。足払いを掛けられた足を床に着こうとするより早く、軸足もまた足払いを掛けられてしまい、体が宙に浮いてしまった。
「ひゃう!?」
股下に左腕を突っ込まれたことで思わず変な声を出してしまい、右腕は私の胸倉を掴んできました。これは「投げ技・・・!?」で、担ぎ上げられたことで視界が反転して、そのまま受身も取れずに背中から床に叩き付けられた。
「かは・・・っ! えほっ、けほっ!」
「よいしょっと。えっと、ダウン中に追撃するのは・・・」
「無し! 無しだからね、ルミナ!」
「たとえありでも、そんな事をするのなら私が止める・・・」
シャルさんが腕で×を作り、トリシュさんは指輪に触れながらそう告げました。ルミナさんとトリシュさんの闘いを観てみたい思いに駆られますが、今は私がルミナさんの相手。途中で棄権するなど、覇王流にはありえません。
(ライフは残り・・・6040ポイント。まだやれる・・・!)
立ち上がって試合続行の意思を伝えるためのファイティングポーズをとると、「良い目をしてる。悪くない」とルミナさんがほくそ笑みました。ルミナさんも構えを取り、右腕をグッと引いた。中距離での飛び道具か、もしくは突撃か。最大限に警戒していると・・・
「ふっ・・・!」
――ルフト・クーゲル――
「ぅぶっ!?」
わけも判らず私は吹き飛ばされていて、リングの床に倒れこんでいた。顔面に残る痛みに殴られたのだと理解はした。でもどうやって殴られたのかがまったく判っていないですが、「まだまだ・・・です!」急いで立ち上がる。
「ふっ・・・!」
――ルフト・クーゲル――
「ぐぅ・・・!」
今度はお腹に見えない拳打を受けた。見えない攻撃が飛んでくる、という心構えがあったおかげで、先とは違って吹き飛ばされずに済んだ。それでもダメージはしっかりと入り、とうとう2000台に突入してしまっている。
「止まっちゃダメです、アインハルトさん!」
「っ!」
ヴィヴィオさんからの忠告に応じて、その場から離れた直後にバシッ!と、私が先ほどまで居た床に何かが直撃した。ですが今のでルミナさんが何をしたのかが何となくですが判りました。魔法でもスキルでもない、単純な「拳圧による中距離打撃・・・?」かと思われます。
「正解♪」
――ルフト・クーゲル――
ルミナさんが目にも留まらない速度で拳打を放ち、私の足元に拳圧を打ち込んできました。速さもさることながら目に見えず、打撃の瞬間も注意しないといけないという、実に厄介な攻撃手段です。
「へい、カモーン!」
「・・・行きます!」
床を蹴ってルミナさんへと向かう中、ルミナさんからは拳圧打撃はありませんでした。何事もなくルミナさんへと最接近できたので、「はあああああッ!」今の私の全力で拳を振るう。ルミナさんはその場から一切動くことなく、片掌だけで私の全力の拳打・蹴打を防いでは捌いてきます。
(あまりにも遠い・・・)
「じゃ、そろそろ攻守交代しようか?」
私の右上段蹴打を、掲げた左前腕で受け止めたルミナさんがポツリと漏らしました。私はすぐに足を戻して攻撃へと備える。
――鋼体の型――
防御を固めて肘で受け止めるという相手の攻撃を利用した攻性防御の「牙山!」で、繰り出される左拳を迎撃する。ルミナさんの拳をしっかりと肘で受けると、ルミナさんは「いっつ゛・・・!」と痛そうに左手首を振りながら私より距離をとりました。
「アインハルトさん! ルミナさんのライフ、とうとう9000台に突入です!」
「クラッシュエミュレートで、左拳の骨折も追加だよ!」
「でも時間も1分切ってます!」
「このまま逆転しちゃえ!」
「頑張ってください、アインハルトさん!」
今回ルミナさんに挑んだメンバーの中で最も強いリヴィアさんですら、ルミナさんのライフ10000ポイントを切ることが叶いませんでした。私のみが、ルミナさんに確かなダメージを与えられた。それが誇らしいです・・・が、リヴィアさんは、私とルミナさんの試合にはない高速打撃戦が繰り広げました。互いに1歩も足を止めず、常にリング上を駆け回りながらの熾烈な攻防。思わず見惚れてしまうほどに、素晴らしい試合でした。私があのレベルに到達するには、更なる鍛錬が数年と要りそうです。
(ですが、今の私に出せる全てで、ルミナさんをさらに追い詰める・・・!)
――覇王空破断(仮)――
「やるじゃん!」
こちらに向かって来ようとしたルミナさんへ牽制の意味を込めての衝撃波を放つと同時、ルミナさんへと駆け出す。ルミナさんは左拳を使えません。なら左側に繰り出す攻撃への対応が遅れるはずです。
(案の定、左腕はダラリと下がったまま・・・!)
弱点を突く。これも必要な戦術です。少しばかり後ろめたいですが、これも真剣勝負。ルミナさんも理解してくれるはずです。ルミナさんが迫り来ていた空破断(仮)を、虫を叩くように右掌で払い落としたのを確認。その僅かな隙に私は肉薄し・・・
「覇王断く――」
「そいつはもう、私には通用しないって理解してなかったの?」
ルミナさんの恐ろしく速い足払いが繰り出される。足先から力を練り上げるという断空の基盤。練り上げる前に足へ攻撃を受ければ、断空は不発となる。それは私も、クラウスも既に知っている欠点。だから今のは・・・。
「っ・・・! 誘われた・・・!」
「空破断!」
ルミナさんの足払いが空を切る。狙われていた左足を浮かせたことで、空振りを誘ってみたのですが・・・。ほぼ賭けのような手段でしたが、上手くいって良かった。浮かせていた左足をドンッ!と床に付き直し、衝撃波を近距離で打ち込む。迎撃も回避も防御も出来ない間合いでの直撃。ルミナさんを短い距離ですが吹き飛ばす。
「おっとと・・・!」
着地をされるより早く肉薄し、着地されると同時に「覇王・・・断空拳!」を打ち込む。私の一撃はしっかりとルミナさんの左頬に入った。
「あいたーっ!」
ここで追撃を緩めるわけにはいかない。残り十数秒。倒しきれなくともライフで勝りたい。
「はああああああああッ!」
「せいや!」
右拳廻打を繰り出す。と、ルミナさんは骨折表現を受けている左拳で迎撃してきました。まさか、という思いと、指から腕、腕から肩、そして頭へと突き抜ける痛みで思考が少し止まってしまった。
「覇王・・・」
「え・・・?」
ルミナさんの口から漏れるその名と、その構えからさらに思考が乱れてしまう。
「断空拳、かっこ仮かっこ閉じッ!」
「ぐふぅ・・・っ!!?」
ルミナさんが繰り出したのは、見間違うことなく覇王流・断空拳でした。腹部を襲う痛みと衝撃に一瞬、意識が飛びそうになったのを気力で踏み止まりますが、視界が反転してリングの床に叩き付けられたことと、「惜しかった~・・・!」という、シャルさんの言葉に・・・
(あぁ・・・負けてしまった・・・)
調子が出てきた、というところでの一転敗北。これはなかなか精神的にキますね・・・。床に倒れたままの私へとルミナさんが歩み寄って来てまして、「大丈夫? 立てる?」と手を差し出してくれました。
「はい、なんとか自力で立てるほどには・・・」
ルミナさんの手を取り、立ち上がらせてもらう。するとヴィヴィオさん達から盛大な拍手が起こりました。
「アインハルトさん、すごかったです!」
「格好良かった!」
「本当に惜しかったです!」
「私も負けていられないな~」
皆さんからの賞賛に私は一礼した後、ルミナさんへと振り向き、「もっと鍛えて、また挑みます」と握っている手を強く握り締める。
「いいよ。とりあえずインターミドルで、ミッド代表になったら・・・全力で闘ってあげる♪」
「っ! はいっ、必ず!」
†††Sideアインハルト⇒アイリ†††
ヴィヴィオ達とルミナの試合を見終えて、アイリはマイスターと思念通話で『みんな強くなってたね~』って、ちょっと見ない間に格闘家として成長していたことにビックリしたことを伝える。特にアインハルト。魔力出力などの手加減があり、防御魔法を一切使わなかったとはいえ、ルミナにあそこまでダメージを入れるなんて。
『アインハルトの将来が楽しみだね♪』
『それを言うならヴィヴィオ達みんなの将来が、だな』
『ん。・・・ん? マイスター、こっちに複数人走ってきてる』
『ああ。魔力反応は2つだが、魔力無しも3人いるな』
マイスターとアイリは、ヴィヴィオ達子ども組に知られないように、光学迷彩魔法で姿を消した状態での護衛をしてる最中。もし最後の大隊が襲撃してきても、目に見える護衛のシャル、トリシュ、ルミナに最大警戒をするはず。そこに伏兵のアイリ達が奇襲して、連中を一網打尽っていう作戦。
『うん。・・・うん? あれ、マイスター。あの子たちって・・・』
転移スキルでの奇襲じゃなく、わざわざ走って近寄って来るなんて・・・て思ってたけど。やって来たのは、日本でも絶滅したかと思われる古き不良スタイルの少女3人を引き連れた『ハリー・トライベッカ・・・?』と、『あの娘はヴィクトーリア・ダールグリュン・・・?』の5人だった。
『変装・・・?』
『いや、本人のようだ。一直線にこちらに向かって来ているとなると、目的は大人組か?』
そうこうしてる内にハリー達がアイリ達の元へとやって来て、ヴィヴィオとコロナとリオの目が爛々と輝きだす。ハリーと妹分のミア、リンダ、ルカが整列して、「シャルさん、ルミナさん、トリシュさん、お久しぶりです!」ってシャル達に向かって一礼した。
「その節はお世話になりました!」
「「「なりました!」」」
「ううん、気にしないで。あれも仕事だったし♪」
「インターミドルの試合、テレビでだけど観戦させてもらったよ」
「私も初めて観ましたが、あなたも含め、10代であれだけの戦技とその錬度に驚きましたよ」
「マジっスか!? すっげぇ嬉しいっス!」
「リ、リーダー!?」
「言葉遣いに気を付けて下さい!」
「お知り合いとは言っても大人の人なんですよ!?」
「あっ! す、すいません! ちょっと気安かったですか・・・?」
「ぜ~んぜん♪ 気安いくらいでちょうど良いよ」
シャル達と気軽に会話してるハリー達の様子に、ヴィクトーリアは「どうして、そんな親しげに・・・!?」って困惑中。ハリーはそんな疑問に対して「以前、ちょっとお世話になったんだよ」って答えた。
「お、お世話に、ですって・・・!? あぁ、そんな・・・。不良の格好をしただけの似非不良だと思っていましたのに、まさか騎士団に、イリスさん達にお世話になるような罪を犯していたなんて・・・。何をしたのです? かつあげ? 万引き? 喧嘩?」
「ば、馬鹿! んなことするかよ! オレ達はな・・・!」
かくかくしかじかとヴィクトーリアへ説明したハリー。ハリー達がシャル達と顔見知りだった理由を知ってヴィクトーリアは「そうでしたのね」と安堵した直後にハッとして、シャル達に体を向けた。
「ご、ご挨拶が送れて申し訳ありません。ご無沙汰しています、イリスさん、トリシュタンさん、アルテルミナスさん」
「ん。久しぶり~」
「お久しぶりです」
「ちょっとぶり~♪」
シャル達とヴィクトーリアが挨拶を交わすと、ハリーが「え? お前も知り合いだったの?」って不満そうに漏らした。有名なシャル達と知り合いだっていうのが自慢にならなかったのが悔しいみたいだね。
「あなたね。これでも私はダールグリュン家の人間ですのよ。古代ベルカより続く血族は、教会本部で行われる社交界パーティなどで顔を合わせる機会が多いのですから、既知であってもおかしくはないでしょう?」
「ちぇー」
「そして・・・。イクスヴェリア陛下も、ご無沙汰しております」
「はい。ヴィクトーリアもお元気そうで。あ、ですが陛下は不要ですよ? 呼び捨てで構いません」
「では、これからはイクスとお呼びいたしますわ」
スカートを摘み上げての優雅な一礼を見せるヴィクトーリアに、イクスも綺麗なお辞儀で応える中、ハリー達が「陛下?」って小首を傾げる。ヴィクトーリアがイクスやシャル達に視線を送ると、イクスは「私は構いません」って微笑んだ。
「他言無用でなら、伝えることを許可するよ」
その様子を見てたハリー達がゴクリって唾を飲んだ。イクスやフォルセティ、ヴィヴィオの正体は、古代ベルカから続く王侯貴族には伝えられるようになってる。だけど、アインハルトのストラトス家のような、ベルカ社交界に出ずに一般家庭として過ごしている人たちには、そういう過去には縛られたくないっていう意思表示があるみたいで伝えないみたい。ベルカ戦乱が終わって、今は平和に過ごすべき、と掲げてるベルカ旧王侯貴族。そのバランスを崩さないことが第一で、一勢力だけに秘密が出来る事はいけない、っていうお取り計らいらしいね。
「ベルカの歴史に興味なんてないでしょうから知らないとは思いますけど、彼女は古代ベルカの諸王にその名を連ねる、冥府の炎王イクスヴェリア陛下ですわ」
ハリーと妹分たちは「はあ・・・」って気のない返事をした後、ようやくのその重大さが判ったのは「えええ!?」って大声を上げて驚いた。ここでイクスが「はじめまして、イクスヴェリアと申します」って自己紹介した後、簡単に今現在の自分の状況を教えた。
「ほぁ~、なんかすごいな・・・」
「っス。本物のベルカの王様とお知り合いになれるなんて・・・」
「予想も出来なかったっスね、リーダー」
「あ、ああ。いや、ヴィクトーリアみたいな末裔とかならまぁ、血筋とか関係ねぇ~、くらいしか思わねぇけど、実際に本物ってなると言葉が出ねぇな」
「皆さんもお気軽に、イクス、と呼んでください♪」
イクスから放たれるほんわかムードにみんなもほんわかしてるところで、シャルが「そうだ。この子たちの事も紹介するよ」ってヴィヴィオ達に振り向いた。
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