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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百六十五話 夏と秋その二

「どうでもいいの」
「そうだったんだ」
「というかね、松茸って高いけれど」
「そんなにお金を出して食べるものか?」
「そう思うと疑問だし」
「それでなんだ」
「私的にはね」
 松茸の話をさらにしてくれた。
「しめじとかエリンギとか舞茸とか。特に椎茸」
「椎茸好きなんだ」
「お鍋に入れたら特にね」
「ああ、お鍋いいよね」
「パスタにしても好きよ」
「茸のパスタだね」
「あとアヒージョね」
 ここで香織さんの声がした、見ればもう玄関を開けて八条荘のお屋敷の中に入ってきていて僕達の傍に来ている。
「あれもいいわよ」
「茸のアヒージョなの」
「そう、マッシュルームとかエリンギね」
「そんなにいいのね」
「アヒージョは知ってるでしょ」
「ええ、お母さんが作ってくれたことがあったわ」
 それで知っていると答えた詩織さんだった。
「海老とか白身魚とかね」
「そういうののアヒージョね」
「オリーブオイルを入れたね」
「あれ美味しいでしょ」
「ええ、ただね」
「茸のはなの」
「お母さんが作ってくれたアヒージョには入ってなかったわ」
 そうだったというのだ。
「海老やお魚は入っていても、あと大蒜ね」
「ああ、大蒜は欠かせないわね」
「アヒージョにはね」
「それはね」
 香織さんも頷く、もう僕達が今座っている席に座っていて何処からか出したのかアイスレモンティーを飲んでいる。
「もう絶対によね」
「大蒜を欠片で入れてね」
「じっくり煮るのよね」
「オリーブオイルの中にあったけれど」
 アヒージョはオリーブオイルで煮るものだ、鍋の中で。
「茸は入れてなかったの」
「そうだったの」
「流石にきりたんぽはなかったけれどね」
「幾ら何でもアヒージョにきりたんぽはないでしょ」
 香織さんも即座に否定した。
「それは」
「そうよね、やっぱり」
「幾ら秋田でもね」
「きりたんぽはね」
「オリーブに合わないわよ」
「どう考えてもね」
「だからお母さんも入れなかったし」
 アヒージョの中にきりたんぽはというのだ。
「秋田でもね」
「そうよね、やっぱり」
「秋田というか仙台の海の幸よ」
 入れたのはというのだ。
「あと青森の大蒜ね」
「秋田はなかったの」
「お鍋は秋田のお鍋だったのよ」
「それがなの」
「そう、お鍋自体がね」
 秋田県で作ったものだったというのだ。
「ちなみにオリーブはイタリアね」
「そっちのなのね」
「美味しかったわ」
「それはいいけれど秋田も海あるでしょ」
「何か仙台のがその時安くて」
「そっちを買ったの」
「そうだったの」
「何か違うわね」
「気のせいか東北って日本海側よりもね」
 秋田県や山形県よりもというのだ。 
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