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レーヴァティン

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第六十八話 女枢機卿その四

「ですが」
「また違うか」
「そうでござる。ミケランジェロとの間の」
「ダ=ヴィンチと合わせたか」
「そんな感じでござるな」
「よくわかるな、そんなこと」
 久志はそのマグダラのマリアの絵を観て述べる進太にこう言った。
「絵が好きなんだな」
「特にルネサンスの絵は」
 この頃の絵はというのだ。
「好きでござる、それででござる」
「どうしたタッチかか」
「わかるつもりでござる」
 それで言えるというのだ。
「この通り」
「そうなんだな」
「いや、いい絵でござる」
 感嘆の言葉も出した。
「この絵は」
「そうだな、それは俺もわかるな」
 久志はこう進太に話した。
「御前みたいに細かいところまでわからないけれどな」
「いいとはでござるな」
「ああ、わかるよ」 
 それはというのだ。
「本当にな」
「こちらの世界の画家の方が描いたでござるな」
「そうだよな、こっちの世界にもいい画家がいるな」
「そうでござるな」
「ああ、じゃあな」
「今からでござるな」
「その枢機卿さんのところに行こうな」
「十人目のところに」
 こう話してだ、そしてだった。
 一行はその枢機卿がいる場所に入った、そこは豪奢な一人部屋で部屋の左右は本棚で本が詰まっており窓の前に席があった。そこに紅の枢機卿の法衣を着た一六〇あるかないかという背丈の黒髪をロングにした楚々とした顔立ちの少女がいた。
 その少女がだ、久志達を見て言った。
「まずははじめましてですね」
「ああ、宜しくな」
 久志が一同を代表して頭を下げ他の面々もだった。
 そうしてだ、こう言ったのだった。
「それでこっちに来たのはな」
「はい、この世界のことですね」
「そうだよ、あんたもあれだよな」
「眠った時に来ています」
 これが少女の返事だった。
「そうしています」
「そうだよな」
「はい、そして私はこの世界では僧侶で」
「枢機卿にまでなってるよな」
「実は学識を認められてのことです」
 久志に楚々とした声で話した。
「そしてですが」
「ひょっとしてと思うけれどな」
「いえ、政治にはです」
 それにはというのだ。
「関わっていないです」
「それでよく枢機卿になれたな」
「政治ではなく実は」
「実は?」
「ローマを巨人達が襲って来たことがありまして」
「その巨人達をか」
「私が一人で倒したのですが」
 こう久志に話した。
「その功績で、です」
「枢機卿になったのか」
「はい、一気に」
 そうなったというのだ。
「ローマと多くの市民を護ったので」
「だからか」
「陰謀を使ったと思っていましたか」
「実はな」
 久志は少女に少し苦笑いになって答えた。
「そうだったよ」
「そうですね、やはりです」
「枢機卿って地位はな」
「王侯の方に匹敵します」
 少女は自分からこのことについて言及した。 
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