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戦国異伝供書

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第七話 長可の修行その七

「鍛錬を続けていくぞ」
「わかり申した、それでは」
「わしもな」
 朝倉宗滴と戦う時に備えると言うのだった、織田家と朝倉家の対立は最早誰が見ても明らかになっていた。
 それでだ、羽柴も己の屋敷で弟の秀長に言っていた。
「朝倉宗滴殿であるがな」
「朝倉家とことを構えるなら」
「絶対にじゃ」
 それこそとだ、羽柴は秀長に言うのだった。
「あの御仁と戦うことになるぞ」
「それは間違いないですな」
「その時じゃがな」
 ここで羽柴は難しい顔になって弟に話した。
「どう思うか」
「兄上があの方に敵うか」
「わしは絶対に無理だと思うが」
 自分でというのだ。
「どうも」
「はい、あえて言わせて頂きますと」
 秀長もこう兄に答えた。
「兄上もそれがしもです」
「あの御仁と戦うとな」
「例え五倍の兵力でもです」
「敵わぬな」
「そうかと」
 これが秀次の考えだった。
「まず絶対に」
「そうじゃな」
「はい、ですから」
「戦うなとは言わぬな」
「いえ、正面から刀で戦うのではなく」
「槍や弓矢、鉄砲でか」
「幸い当家の軍勢の槍は長いです」
 まずはここから言った秀長だった。
「あの長槍を朝倉家の軍勢に向けてです」
「朝倉家の軍勢を寄せ付けずか」
「そして弓矢や鉄砲で攻めて」
 そうしてというのだ。
「戦っていくべきです」
「それがよいか」
「正面から戦おうとも」
「勝てぬか」
「おそらく織田家では」
「誰もか」
「あの御仁には勝てぬかと」
 これが秀長の読みだった。
「残念ですが」
「柴田殿、佐久間殿でもか」
 羽柴は織田家の武の二枚看板と言われる二人の名を出した。
「それでもか」
「はい、強さが違います」
 朝倉宗滴のそれはというのだ。
「ですから」
「そうか、だからか」
「はい、当家ではです」
「あの御仁と互角にはか」
「戦える御仁がいませぬので」
「そうしてじゃな」
「これまでの織田家の戦い方ですが」
 長槍に弓矢、そして多くの鉄砲を使うことはだ。
「ですから」
「それをか」
「行ってです」
「戦うべきか」
「そうかと」
 こう兄に言うのだった。
「むしろそうでもなければです」
「戦えぬか」
「数で頼んでも」
「あの御仁相手はな」
「はい、勝てませぬ」
 そうした相手だというのだ。 
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