夢幻水滸伝
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第六十二話 東国平定その四
「ですからあくまで戦います」
「あたしともだよね」
「そうです、しかし」
麻友が右の掌を前に出して放った雷の球をかわしてからだ、美鈴はこうも言った。
「この攻撃は」
「料理人の攻撃じゃないっていうのね」
「はい、お見事です」
「職業は料理人でもね」
「戦は出来てですね」
「術が使えるから」
だからだというのだ。
「あたしも戦う時は戦場に出るわ」
「そういうことね」
「そう、そしてね」
「そしてですか」
「その時は本気だから」
今度は冷気を出してそれで美鈴を攻める、美鈴は冷気は自身の障壁の術で防いだ。だがそれでも麻友はまた術を出す用意をしていた。
そうしつつだ、こう言うのだった。
「この通りね」
「闘って」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「勝つから」
「その為にですね」
「あくまで闘うから。美鈴ちゃんは嫌いじゃないけれど」
むしろ彼女を見る目もかける言葉も暖かい、そこには親しみという感情が見られた。
「戦の時は違うからね」
「本気で、ですね」
「向かって闘うから」
「そうですね、ですから私も」
美鈴は手に持っている棒で麻友が繰り出した風の刃術のそれを受けて防いでそのうえでこうも言ったのだった。
「闘っています」
「本気でね」
「そうしています、では」
「どっちが勝っても恨みっこなしでね」
「死合いましょう」
こう言ってだ、美鈴は麻友との闘いを続けていた。二人の周りでは兵達が闘っていたが関西の軍勢は数と装備で東国の精兵達を押していた。
しかし瑠璃子達は違っていた、瑠璃子は戦いつつ由香と紗枝、そして雅美に言った。
「強いわ、先輩等」
「うん、それ私も思うわ」
「私もや」
「やっぱり武者小路先輩達強いわ」
こう言うのだった、武者小路達と戦いながら。四対四の戦は武者小路達が優勢で瑠璃子達は押されていた。
しかしだ、瑠璃子はその中でも言うのだった。
「それでもや」
「ああ、負ける訳にはいかんで」
「ここで負けたら姫巫女さんがまた攻撃される」
「大将首取られるかも知れんしな」
四人でこう話した。
「ほなな」
「ここはしっかり踏ん張ろうな」
「武者小路先輩等強いけど」
「負けへんで」
「負けないだか」
宮沢は四人のその会話を聞いて言った。
「それは確かにいいだ」
「確かに、勝てないなら負ければいい」
有島は宮沢のその言葉に頷いた。
「戦ってのはそうしたものでやんすからな」
「この四人も強い」
遠藤は瑠璃子達四人と接近戦を主体にして戦っている、今は一旦後ろに退いて間合いを見計らいつつ言うのだった。
「そう簡単には倒せないな」
「そうよ、この娘達は強いわよ」
武者小路も三人に言った。
「だからそう簡単には倒せないわよ」
「そうだな、ではな」
「本腰入れて闘っていくわよ」
こう遠藤にも言った。
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