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『組長と零』

作者:零那
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『逃げ』



こんなこと言うと笑われるだろうけど...組長は、いつでもどんな時も私のことを第一に考えてくれていた。そう感じてしまうくらいに私を大事にしてくれていた...。

なのに私は何も出来ない。何の役にも立てない。むしろ存在そのものが重荷な筈...。悪の元凶なのだから。だから、組長が私をどうしてこんなに大事にしてくれるのか解らなかった。

本来なら、私みたいな人間とは関わりたく無いと言う人が99%だろう。残りはホラ興味本位とか怖いもの見たさで突っついて来るような人が居るから(笑)

私なんて組長にとって邪魔になる存在なのに...。解ってて甘えてる自分が赦せなかった。

蓮を失い、組長に助けてもらい、暫くは距離を置いた。何かと理由を探し会わない日が続いた。

気持ちの整理なんて、そんなこと何年経っても出来ない。切り替えることも出来ない。蓋をすることさえ出来ない。どうすることも出来ない。死に場所を探すことしか出来ない...。

完全に現実逃避。
してしまったことから逃げることしか考えれなかった。

そんな私を知る由もない筈の組長が、何故か本当に私のスベテを見透かしてるかのように現れた。そして更に家族ごっこの新メンバー、兄を連れてきた。仲間。私と同じイタミを負っているという兄代わりの人を...。

それからまた会う日が増えた。


 
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