| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百六十二話 夏の最後の夜その十一

「お醤油も今はあるし」
「けれど違うんだよ」
「日本のお刺身とは」
「何かがな」
「カルパッチョみたいとか?」
「そこまではいかなくてもな」
 それでもというのだ。
「やっぱり違うんだよ」
「何かと」
「そうさ、イタリアのお米で日本酒造るとな」
「特に違うのかな」
「ああ、日本のお米はジャポニカ米だろ」
 このことはよく言われる、日本のお米はこちらのお米だ。他の殆どの国のお米とは違う種類なのだ。
「向こうはインディカ米だぜ」
「インディカ米で日本酒造ったら」
「同じお米でもな」
 原材料はだ。
「違うんだよ」
「別のお酒の感じがするんだ」
「これがな」
「それでイタリアでお刺身を食べても」
「イタリアで釣った魚だとな」
「違うんだね」
「それですき焼きもな」
 親父の大好物のこのお鍋もというのだ。
「本当に違うからな」
「そうなんだ」
「食うならせめてお肉とお豆腐はな」
「お豆腐も?」
「お水が違うと固さまで変わるんだよ」
 お豆腐はというのだ。
「味もな、中国やアメリカでもそうだろ」
「ああ、お豆腐固いっていうね」
 こうした国々のお豆腐はだ、だから魯迅の故郷で通称コンパスが売っていたかつての豆腐西施が売っていたお豆腐も固かったのだろう。
「硬水だからだよね」
「イタリアも結構な」
「硬水だったりするんだ」
「だからな」
「お豆腐も違うんだ」
「お豆腐はお豆腐でもな」
 あちらで造ると、というのだ。
「そうなんだよ」
「だからお豆腐もなんだ」
「ついでに言うとしらたきとか椎茸もな」
 こうした茸類もというのだ。
「お葱はあってもな、まだな」
「お葱はあるんだ」
「やっぱり日本とは違っててもな」
「っていうかイタリアですき焼きってかなり違和感あるね」
 何かこう思えてきた。すき焼きのお話をしていて。
「どうにも」
「そうなんだよな、肉じゃがにしてもな」
「絵にならないっていうか」
「そんな感じだな」
「まあ考えてみたらね」
 僕は自分達が今いる居酒屋のことを思って親父に話した。
「日本でソーセージ食べるのも」
「注文するのか?」
「いや、しないけれど」
 それでもと親父に話した。
「違和感あるかな」
「あっちから見ればそうかもな」
「チーズとか食べるのも」
「そうかも知れないな」
「僕達にとっては普通だけれどね」
「日本人は何でも食うからな」
 それこそ世界中の料理を食べている、八条荘にしても小野さんがあらゆる国のお料理を作ってくれる。
「ソーセージだってチーズだってそうだしな」
「他にも色々あるよね」
「だから俺達的には違和感ないけれどな」
「あっちじゃ違うかな」
「そうかもな、日本のステーキとかもな」
 僕も好きなこの料理もというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧