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夢幻水滸伝

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第六十一話 読んでいた夜襲その一

               第六十一話  読んでいた夜襲
 夜になった、その時にはもう幸田は関西の軍勢が見える山陰に三千の兵と彼等を乗せる空船が揃っていた。
 勿論東国の星達もだ、幸田は彼等を前にしてだった。強い声で言っていた。
「関西の軍勢、綾乃ちゃんの本陣は目の前だ」
「はい、いよいよですね」
 遠藤がその幸田に応えた。
「攻めますね」
「そうする、丁度な」
 その関西の軍勢のことも話す幸田だった。
「敵兵達は油断してるかここまで斥候や空船は出していない」
「こちらも潜んでるだが」 
 宮沢は周りを見回した、深い木々に空船まで隠されている。
「相手は気付いていないだな」
「ああ、気付いていたらな」
 それこそと言う幸田だった。
「もうな」
「ここにより多くの斥候なり空船が来てるだ」
「そうだ、本当によく隠れられたな」
 まずはこのことを喜ぶ幸田だった。
「そしてな」
「そしてだな」
「今から全員空船に乗れ」
 宮沢に応える形で自分の前にいる八人の星の者達に告げた。
「そして敵の本陣に低空から向かってな」
「そうしてですか」
 今度は有島が応えた。
「姫巫女さんを」
「九人全員で攻めてな」
「倒すんですね」
「そうするからな、いいな」
 実際にと言うのだった。
「敵の寝込みを襲う」
「正念場ね、本当に」
 いよいよと言ったのは武者小路だった。
「緊張してきたわ」
「はい、遂にという感じです」
 千歳もその顔が真剣なものになっている。
「なまら緊張してきました」
「そうよね」
「これまで一方的にやられてきた感じでしたが」
「それも終わりよ」
「一気にですね」
「反撃よ」
 それに移るというのだ。
「いいわね」
「いや、どうなるか」
 宮子も言ってきた。
「これから。そう思うと」
「緊張するわよね」
「本当にね」
 宮子は千歳にも応えて話した。
「乾坤一擲の勝負になるから」
「緊張するわね」
「緊張するのはいい、だが固くなるな」
 日毬は緊張しているという二人にこう告げた。
「いいな」
「緊張してもですか」
「それでガチガチになったりしたら」
「出来ることも出来なくなる」
 だからだというのだ。
「動きが悪くなり周りも見えなくなりな」
「だからですか」
「固くならないことですか」
「そうだ、少し身体と心をほぐせ」
 二人にこうも言う日毬だった。
「いいな」
「こうした場合は準備体操かしら」
 麻友は少し考えてから述べた。
「あれをしたら身体がほぐれてね」
「気分転換にもなって」
「それで、ですね」
「そう、いいからね」
 緊張をほぐす為にもというのだ。 
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