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空に星が輝く様に

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383部分:第二十九話 壊れてしまったものその二


第二十九話 壊れてしまったものその二

「御前月美に俺と別れろって言ってたよな」
「それは、その・・・・・・」
「言ってたな」
 言い訳は許さなかった。強い言葉だった。
「そうだな」
「え、ええ」
 陽太郎に強く言われてはだった。星華は弱かった。それで俯いてしまってだ。その陽太郎に対して弱い声で頷くしかできなかった。
 そしてだ。こう言うのだった。
「まあ。そうだけれど」
「そんなこと絶対にしないからな」
「絶対にって」
「何をなのよ」
「どうするっていうのよ」
「だから別れないからな」
 陽太郎は三人にも強い声と目で返した。
「月美とはな。御前等が何を言ってもな」
「くっ・・・・・・」
「言ったわね」
「そうするっていうのね」
「そうだ、絶対に別れない」
 月美を後ろに護ったまま言い切る。
「御前等が何を言ってもな」
「そういうことだから」
 月美もまた言ってきた。
「若しそれで何かしたらその時は絶対に許さないから」
「うう・・・・・・」
「わ、わかったわよ」
「そこまで言うのならね」
 三人も退くしかなかった。椎名の目は完全に座っていた。明らかに本気の目であった。無論言葉もそうなっていたのだった。それではなのだった。
 三人も沈黙してしまった。しかしであった。
 陽太郎はまだ言う。星華を見据えてだった。そして彼女に言うのだった。
「おい、佐藤」
「う、うん」
「御前こんなことする奴だったんだな」
 完全に怒っている目だった。
「物陰でこそこそと。こんなことする奴だったんだな」
「ち、違う」
 星華は必死にそれを否定しようとする。
「私は」
「じゃあ何なんだよ、今までのは」
「私は、それはその」
 戸惑いながら視線を陽太郎から逸らして右斜め下にやってだ。それで言うのだった。
「斉宮と」
「俺と?」
「あの、その」
「だから何なんだよ」
「ううん、何でもない」
 言えなかった。普段もそうだったが今は特にだ。どうしても言えなかった。
「何でもないの」
「じゃあ何でこんなことしてんだよ」
 陽太郎の怒りは収まらない。星華に対してさらに言う。
「御前月美のこと嫌いなんだな」
「それは・・・・・・」
「嫌いじゃないとこんなことしないよな」
「う、うん・・・・・・」
 力なくだった。陽太郎の言葉に頷いて返す。
「そうだけれど」
「嫌いな相手だったら何をしてもいい」
 陽太郎はそう断定した。口元にも怒りが見えている。冷静さは保っていた。しかしそれでも怒りが露わになっているのは隠せなかった。
「そういう奴だったのかよ」
「ちょ、ちょっとねえ」
「あんた幾ら何でも」
「そんなこと言ったら」
 三人は星華の前に出て彼女を守ろうとする。そうしてそのうえで陽太郎に対して言い返すのだった。そうしてまた言うのだった。
「星華ちゃんだってね」
「確かに私達だってそうだけれど」
「よくないことしたけれど」
 今更ながら気付いてだった。負い目を感じていたがそれでも言うのだった。
「それでもよ」
「どうしてもって思って」
「それで」
「どうしてもって何だよ」
 陽太郎はその三人に対して問い返す。
 
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