空に星が輝く様に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
382部分:第二十九話 壊れてしまったものその一
第二十九話 壊れてしまったものその一
第二十九話 壊れてしまったもの
陽太郎は星華達を見据えていた。そうして言うのだった。
「見てたぞ」
「見てたって」
「まさか」
「ずっと」
「ああ、ずっとだ」
こう三人に言い返す。強い目になっている。
「ずっと見てたんだよ」
「嘘、そんな」
それを言われて最も驚いたのは星華だった。その顔に驚愕が走る。
顔が割れそうになっている。まるで鏡を金属で叩いた時の様に。そしてその顔で言うのだった。声もまさに割れそうになってしまっていた。
「それじゃあ・・・・・・」
「おい、佐藤」
陽太郎はその星華に対して言った。
「何なんだよ、一体」
「何なんだよって」
「何で月美のこといじめるんだよ」
実に具体的な問いだった。
「こいつが御前に何かしたのかよ」
「それは」
「どうなんだよ、それは」
強い言葉が険しいものになっていた。
「そんなのしてないだろ、全然な」
「それは・・・・・・」
「じゃあ何でいじめるんだよ」
また言う陽太郎だった。
「こいつが何もしてないっていうのによ。いや、しててもだよ」
「いじめは最低」
椎名も言ってきた。
「絶対に許さない」
「いじめてるっていうの!?」
「私達がっていうの」
「何よそれ」
三人がムキになった顔で椎名に言い返す。
「何処がなのよ」
「そんなの全然してないじゃない」
「そうよ」
「嘘じゃなかったら自覚してない」
だがその三人に対してだ。椎名は冷たく言ったのだった。
「それだけ」
「ふん、そう言うのね」
「ああ言えばこう言うで」
「本当に口の減らないチビね」
「チビって言うな」
その単語には速攻で言い返す椎名だった。
「私はチビじゃない」
「じゃあ何だってのよ」
「あんたがチビじゃなかったらよ」
「他の何だってんのよ」
「私は私」
これが椎名の言葉だった。はっきりと言い切る。
「そうだから」
「ふん、ならいいわよ」
「あんたがそう言うのならね」
「勝手にそう思ってたら?」
三人は忌々しげに言い捨てる。諦めたのである。しかし椎名はまだ言うのだった。月美を後ろに護ったままそのうえでだった。
「とにかくつきぴーには何もさせない」
「何もって何がなのよ」
「いじめさせない」
具体的な言葉だった。またいじめという言葉を出したのであった。
「絶対に」
「あのね、私達はね」
星華がムキになった顔で言い返す。
「西堀にね。ただね」
「おい、聞いてたぞ」
だが、だった。陽太郎が言うのだった。
「全部な」
「全部って?」
「そうだよ、全部だよ」
また言う彼だった。
ページ上へ戻る