八条学園騒動記
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第四百七十五話 無料で遊べるその十一
「学者さん達はね」
「解読出来るんだ」
「それもすらすらとね」
「何ていうかそれって」
ローリーはベッカからその話を聞いてしみじみとした口調で述べた。
「殆ど特殊技能だよ」
「そうだよね。これエジプトのあのパピルスの文字でもメソポタミアの楔形文字でも」
「まあ他にはそれぞれの国の言葉もね」
銀河語は公用語であるが併用されている各国の言語もというのだ、古代国家ではわざわざ古代の言葉を復活させて公用語にしていたりする。
「難しいけれどね」
「特に日本語ね」
ベッカはこの国をここで出した。
「僕達が今いる国だけれど」
「平仮名と片仮名と漢字だからね」
「三つの文字を同時に使うし」
「発音とか表現も独特で」
「何これってレベルだよ」
非常に難解だというのだ。
「もう日本の古文書なんて」
「こんなレベルかな」
ローリーは今度はテスカトリポカこの時代では戦いの神ではなく勝利の為の努力や台風という力で雨をもたらす神として崇拝されているその神の姿を観た。
何でも左足が鏡になっている神とのことだがその姿がどうにもわからずそれでこう言うローリーだった。
「訳がわからない」
「ぱっと見でね」
「そんなのかな、日本の古文書も」
「そうみたいだよ」
実際にとだ、ベッカはローリーに答えた。
「印刷でなく人が書いた文字でね」
「それで昔だと」
「文章も違うから」
この時代の日本の文章とはだ。
「十九世紀終わりからの文章とね」
「ふうん、文章も違うから」
「解読は至難らしいよ」
「出来たら特殊技能レベルで」
「本当にその域でね」
「何か凄いね」
「日本語もね、しかし本当にね」
ベッカもそのテスカトリポカの姿、石にあるそれを観て言った。
「これぱっと見訳がわからないよね」
「何を描いているのかね」
「それで何を意味しているとかね」
「わからないよ」
「落書きというか暗号?」
「その域だよね」
そこまで意味がわからないとだ、二人で話していた。中南米の神々のかつて描かれている姿をその目で観て。
無料で遊べる 完
2018・5・9
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