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夢幻水滸伝

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第五十八話 伏龍と昇龍その十二

 三人は自分達が率いる軍勢と共に昼食に入った、そうして三人でその焼き餃子を食いはじめた。焼き餃子以外には菊菜のひたしにエリンギの味噌汁があった。
 その焼き餃子を食べつつだ、遠藤は唸っていった。
「やっぱりこっちの世界でも宇都宮だとな」
「餃子ですね」
「これだべ」
「そうだな、美味い」
 遠藤はリザードマンの大きな口で餃子を箸で一個一個口の中に入れて味わいつつ述べた。
「この餃子はな」
「そうですね、焼き加減も中の具もいいです」
「皮もな」
「やはり宇都宮だけはありますね」
「全くだ、しかしな」
「しかし?」
「焼き餃子は日本ではよく食べるが」
 この種類の餃子はとだ、遠藤はここで微妙な顔になって述べた。
「本場の中国だとな」
「水餃子の残りを焼くか東北の方だけで」
「あまりな」
「はい、食べないですね」
「水餃子か蒸し餃子だ」 
 こういった餃子が中国では主流だというのだ、そしてこのことは実際にその通りである。
「向こうからの留学生も言っているが」
「そうなんですよね」
「だから学生食堂でもそうした餃子がある」
「しかも人気メニューです」
「水餃子も蒸し餃子もな」
「尚且つ美味しい」
「自分も好きだ、しかしな」
 それでもとだ、遠藤はまた餃子を食べて言った。皮の焼き加減も実にいい。
「焼き餃子は焼き餃子でだ」
「いいものですね」
「本当にな」
「酒にも合うだ」
 今は飲んでいないが酒の話もする宮沢だった。
「特にビールに」
「そうだな、餃子は酒にも合う」
「つまみにも最適だ」
「御前さんは酒好きだしな」
「美味いしあったまるだ」
 だから好きだとだ、宮沢は遠藤に答えた。
「だから大好きだ」
「そうだな、どうも寒いとな」
「酒が美味いだ」
「その通りだ、しかし暑くてもな」
 こちらでもとも話す遠藤だった。
「いいからな」
「酒は」
「ああ、泡盛もな」
 沖縄の方の酒だ、言うまでもなく暑い場所で飲む。
「飲むからな」
「こっちの世界では琉球だ」
「結局人間は何時でも酒を飲むってことだな」
 遠藤はこの結論に至った。
「つまりは」
「そうなるだか」
「そう思うがどうだろうな」
「そかもな」
「そうですね」
 宮沢だけでなく宮子も応えた。
「要するに」
「人間はとかく酒好きだ」
「ああ、特に御前さんは東北生まれでこっちの世界じゃ蛇人だ」
 遠藤は宮沢に笑ってこう言った。
「それだったらな」
「酒好きなのも当然だか」
「そうだろ、蛇は酒好きだっていうしな」
「うわばみだな」
「ああ、うわばみは大酒飲みだ」
 俗にこう言われていて酒を多く飲むとされている、日本では蛇と酒は縁が深いものとされているのは三輪神社からだろうか。
「だからな」
「おらが酒好きなのはか」
「当然だな」
「そか、まあそれでもな」
 宮沢は餃子を食いつつ笑って返した、見れば御飯も食べている。
「おらはいいだ」
「そうか」
「ああ、それでもな」
 やはり笑って言う宮沢だった。
「おらは構わないだ」
「酒好きと言われてもか」
「実際そだしな」
 だからだというのだ。
「おらはいいだ」
「そうか、それじゃあな」
「今度飲む時はしこたま飲むだ」
 酒、それをというのだ。
「そうするだ」
「そうだな、勝ってな」
「勝利の美酒を堪能するだ」
「そうしような、それじゃあな」
「今からだな」
「仕掛けるか」
 こう話してそしてだった。
 三人は今は餃子を食いそうして戦の用意に入った、綾乃達に今度は野戦を挑む為に。


第五十八話   完


                  2018・3・15 
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