ベル・クラネルが魔剣使いなのは間違っているだろうか
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7話
周りは驚きのあまり声を出せなかった。
「それ…なに?」
「純神アイギス×ピュア。僕の持つ盾型の魔剣ですよ」
アイズは信じられなかった。抑えたとはいえ自身が持つ一撃必殺の技を止められたのだ。
「ちょっと待ちい。今、自分何って言った?アイギスやて」
「ロキ、何か知っているのかい?」
「アイギスは神々の時代の時にアテナが持っとった盾や。しかも、その中心にはメデューサと呼ばれた石化の能力を持った怪物の首が嵌められていたんや。そして石化の能力は死んでも発揮されておった。故にとてつもなく強い武器ちゅうわけや」
ロキが説明をする。そしてそれを聞いたロキ・ファミリアの面々はベルが持つ盾に目を向けていた。
「これは違いますよ。神アテナから盗んだものでも譲られたものでもありません。これは元々こういう存在なんです」
「どういう意味だ」
「これ以上は話せません。それでは僕は帰らせてもらえます」
ベルはそのまま歩いて出ていこうとする。
「待って…。君は…どうしてそこまでして、強いの…?」
「強くなんかありませんよ」
「ううん、戦ったから解る。君は、強い」
アイズの問いかけにベルは頭を横に降った。。
「だから、聞かせて…。君は、どうやって…強くなったの?」
「…果たさなくちゃいけない約束ともう二度と大切なヒトを失いたくないからです」
ベルの脳裏にはある光景が浮かび上がる。抱き寄せた女性のお腹辺りには何かに貫かれたような傷。どんなに泣いても、呼んでも返ってくることのない声。雨の中後悔し続けた記憶。
「ただいま、戻りました」
「ベルくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!大丈夫だったかい?怪我はないかい?ロキの奴に何かされてないかい!?」
「だ、大丈夫です。神様」
ヘスティア・ファミリアのホームのドア開けると主神であるヘスティアの抱擁もといボディークローを受けたベルは一瞬呼吸が止まるかと思った。
「そうか、ただ決闘をしただけか」
「はい、でもすいません。僕が魔剣使いだと言うことがバレてしまって……」
「良いさ、君が無事なら。それにダンジョンでは何が起きるか分からないから想定していなかった訳じゃないんだよ?でも、よりよってあのロキんとこのファミリアにみられるなんて」
「あの、神様。僕、これからギルドに逝ってエイナさんに話してきます」
「なんだか、表現がおかしかったような気がするけど…ボクも一緒に行こうかい?」
「いえ、そのあとダンジョンに行こうと思っているので」
「そうか、なら気を付けていってくるんだよ」
そのままベルは身支度をしたあとギルドへと向かった。
「それでベルくん?何か言うことは?」
「すいませんでしたあああああぁぁぁぁぁぁぁ」
ギルドに着いてエイナに防音完備が完璧な部屋へと案内されると顔は笑顔なのに目が一切笑っておらず、背後には般若の面が浮かび上がっていた。
「まったく。今、すごい噂になってるよ?魔剣使いが現れたって」
なぜ噂になっているのかと言うとベルが暴露した場所にはロキ・ファミリアのメンバーとベルの他にも大勢の客がいた。そしてそこにいた誰かが流したのだ。
「それでこうなった理由はなんなの?」
ベルはとりあえず一昨日の出来事洗いざらいはいた。それを聞いたエイナはため息をこぼすしかなかった。
「はぁ、ベルくん。いくら魔剣を持っているからって冒険者である以上冒険しちゃダメなんだよ」
「わかっています。でも、あのまま放っておくことは出来なかったんです」
お人好しのベルの事が分かっているからエイナもこれ以上怒ることが出来なかった。
「でも私も頭が痛い。まさか、よりにもよってリヴェリア様にバレるなんて……」
「本当にごめんなさい」
「まあ、起きちゃったことをあとからとやかく言って仕方ないか。でも、ベルくんこれからはもっと気を付けるんだよ?エルフの中にも過激なヒトは沢山いて、その中には強く魔剣使いを憎んでいるヒトもいるんだからね」
「はい、分かっています。あの、エイナさんももし危なくなったら僕のアドバイザーを辞めてください。そして僕のことは忘れてください」
「ベルくん、私はどんなことがあっても君のアドバイザーをやめるつもりはないよ」
エイナもベルに負けないくらいのお人好しで世話焼きだ。そんな彼女が簡単にベルのアドバイザー辞めることなどない。
「それに私が危なくなったらベルくんが守ってくれるんでしょ?」
「…はい。どんなことをしてでも」
ベルは魔剣使いであることを打ち明けた時にエイナに最初に言ったことだ。エイナにもし自分が関わったせいで危険が迫ったときには必ず守るとそう約束したのだ。
「なら、大丈夫だよ」
「はぁ、エイナさんにはいつも敵いません」
そのあとエイナにもダンジョンにいく話してベルはダンジョンへと向かっていったのであった。
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