夢幻水滸伝
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第五十七話 仕掛ける場所その十二
「とかく剣では天下無双です」
「そやからやね」
「はい、姫巫女様は接近戦は出来ないです」
事実上丸腰でしかも格闘技も身に着けていない、綾乃はこと武器や拳での戦となるとどうしようもないまでに弱いのだ。
「ですから」
「それでやね」
「お気をつけ下さい」
「そうするわ」
「そして幸田さんもです」
次に傾奇者、玲子と同じ職業の彼のことも話した。
「この方は虎徹を持たれていますが」
「武器はそれやね」
「そして三河物語と闘戦経をお持ちです」
「どっちも書やね」
「はい、三河物語は政治力や知力に関わり闘戦経は気力と兵法のものです」
「戦やと闘戦経やね」
「戦術戦略にも影響しますので」
そうした方向への能力を上げるというのだ。
「まさに総大将としてです」
「才能を発揮するんやね」
「はい、ですから」
「幸田君にもやね」
「お気をつけ下さい」
是非にというのだった。
「くれぐれも」
「この二人に特にやね」
「そうです、他にもコロボックルの小林さんもいます」
「コロボックル、小人族やね」
「はい、蝦夷ではそう言われているので」
小人族をコロボックルと呼んでいるのだ、この地域の言葉である。
「私もこう呼びました、起きている時は友達同士です」
「あっ、そうなん」
「いい娘です。好きな食べものはラーメンです」
「札幌ラーメンやね」
「はい、海の幸と乳製品も好きです」
「北海道の娘なんやね」
「そうです、とてもいい娘なのでよかったら」
戦の後でとだ、鈴子は綾乃に千歳のことを話していった。
「お話して下さい」
「そうさせてもらうで」
「是非、それでこの千歳ちゃんは風水師で」
無意識のうちに起きた時の呼び名で話している鈴子だった。
「気候や地形を操れます」
「ってことはやね」
「はい、嵐を起こしたり飴を降らせることも出来ます」
「奇襲にはもってこいやね」
風水師のその力はとだ、綾乃は話を聞いて述べた。
「まさに」
「軍勢も攻撃出来ますし」
「ほんまにな」
「ですから」
「それでやね」
「あの娘にも注意して下さい」
「東国の軍勢はその風水師の小林君にだ」
室生が分析をはじめた、敵である彼等のことを。
「接近戦は松尾君に地の武者小路君と遠藤君、人の有島君がいて遠距離戦では人の宮沢君がいる」
「はい、そして治療は料理人の永井さんが術を使い薬剤師の萩原さんがですね」
「二人が行う」
「そして風水師の小林さんが攪乱も行いますし」
「いい組み合わせですね」
「攻めるにはな、棟梁の幸田は特にだしな」
「それでは」
鈴子は強い目になって述べた。
「油断はですね」
「どの様な相手にも出来ないがな」
それでもと言う室生だった。
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