夢幻水滸伝

「しかし大将として一軍を率いてもらう方が大事」
「だからやね」
「お二人には来てもらわないで」
「それで、なのね」
「私達だけで戦うの」
「そうすべきよ、大将は常に率いている軍にいるべきだから」
　そして采配を執るべきだというのだ。
「ここはね」
「そうやねんな」
「お二人は呼ばへんで」
「うち等の軍勢だけで何とかする」
「そうするんか」
「そうしましょう」
　こう四人に話した。
「是非ね」
「ほなうち等姫巫女さんに何かあったら」
「即座に駆け付けるか」
「そして東国の星の人達と決戦や」
「そうするか」
「そうしましょう、ここで問題は」　
　鈴子はさらに話した。
「やはり天の星の幸田さんと松尾さんよ」
「そのお二人か」
「お二人共めっちゃ強いしな」
「幸田先輩の虎徹も凄いしな」
「松尾先輩はもう天下無双の剣の腕前やし」
「松尾さんってＧ組の日毬ちゃんやからな」
　綾乃は松尾と聞いて自分達が起きている世界のことから話した。
「あの娘は」
「はい、そうです」
　その通りだとだ、鈴子は綾乃に答えた。
「剣道部の」
「あの娘実はうちと一年の時同じクラスやったわ」
「そうでしたか」
「ええ娘やで、真面目で自分に厳しくて正義感が強くて」
「まさに武士の様な方ですね」
「実際代々旗本のお家やったし」
　このこともあってというのだ。
「一本しっかり筋が通った娘やで」
「卑怯卑劣とは無縁の」
「凄いしっかりした娘やねん」
「その松尾先輩がです」
「こっちの世界におって。都にも来たし」
　綾乃は日毬が東国の使者として来た時のことも話した。
「うち等ともお話して」
「凄まじい気だった」
　室生は使者として来た時の日毬のことを思い出していた、それは彼が見てもだった。
「既に抜き身の剣を構えている様な」
「そうした気やったね」
「うむ、剣豪そのもののな」
「あれは凄かったね」
　玲子も笑っているがいつもの余裕がかなり消えている。
「もう本当にね」
「本物の気だったな」
「ああ、あたしはああした人と戦いたいよ」
「そう言うか」
「面白い勝負が出来るよ、ただね」
　こうも言う玲子だった。
「勝てるかどうかはわからないよ」
「玲子ちゃんでもなん」
「あの人の剣の腕は本物だからね」
　それがわかるからだというのだ、玲子も武で生きてきている。それだけに日毬の腕を見ただけでわかったのだ。
「あたしでもね」
「勝てるかどうかはなん」
「わからないよ」
「そうなんやね」
「というかあたしじゃ負けるよ」
　こうも言う玲子だった。
「あの先輩の腕と神具の前にはね」
「松尾先輩の神具は全て剣です」
　鈴子は日毬の神具のことも話した。
「和泉守、波泳ぎ兼光、俱利伽羅丸です」
「三つ共刀やね」
「その三本の刀で重要に切り回る」
「そうした戦をするんやね」
「二刀流も出来ます」
　そちらの剣術も備えているというのだ。
「そして一刀でもです」
「戦えるんやね」
「この世界でも屈指の剣客、他の国では剣士と呼ばれる存在です」
　鈴子は日毬の職業のことも話した。