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夢幻水滸伝

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第五十六話 幸先よい勝利その十一

「人格めっちゃ変わるけどな」
「悪くな」
「もう陰が出来て色々歪むわ」
「他人の不幸、特に失恋は嘲笑するなってことやな」
「しかもこれは恨み買う」
「嗤われた方はな」
 覚えているからだ、言った方は軽い気持ちで言ってもだ。
「もう覚えてるさかいな」
「変な恨み買うな」
「いざって時に背中からブスリも有り得る」
「恋愛の恨みは怖いしな」
「自分もそれわかってるか」
「当たり前や、わしは妖界きってのモテ男やぞ」
 鵺は中里に胸を張って言ってみせた。
「もう恋愛のことは何でもや」
「経験があってか」
「知ってるわ、そやからや」
「こうしたこともか」
「わかるわ、恋愛はホンマに下手したら恨みを買う」
 そうなるというのだ。
「それも洒落にならんな」
「そや、それでや」
「失恋のことはやな」
「言わんに限るわ」
 失恋をした相手にというのだ。
「ほんまにな、それでや」
「ああ、夜這いはやな」
「僕はせん」
 中里はまた鵺にこう言った、とにかく恋愛についてそうしたことは何があってもしないというのだ。
 だが、だ。彼は同時にこうも言った。
「それでもや、戦やとや」
「この場合は夜襲やな」
「それはする、けどな」
「姫巫女さんはやな」
「夜襲を仕掛けてもや」
 それでもというのだ。
「あの娘はそう簡単にはやられんわ」
「大蛇もおるしな」
「そや、それに勾玉が危険を知らせてくれる」 
 この神具がというのだ。
「あの神具はそうした力もあるさかいな」
「まさに鉄壁の護りやな」
「綾乃ちゃんは武器は持ってへんし接近戦も出来ん」
 そうした戦は実際に出来ない、格闘技の類も身に着けておらずとにかく武器を持った戦は出来ないのだ。
「けれどな」
「護りはやな」
「絶対や、そやからな」
「安心出来るか」
「それこそこの世界の相当高位の魔物を大群で送るか」
 綾乃を倒そうと思うならとだ、中里は話した。
「星の奴は九人どころか二十人は行くか、神星が二人か三人で向かうか」
「そこまでの戦力やないとやな」
「勝つのは無理や」
 そうだというのだ。
「綾乃ちゃんにはな」
「そこまで強いんやな」
「神星の中でも頂点の三極の一人だけあってな」
 それだけにというのだ。
「綾乃ちゃんの強さや尋常やないわ」
「それでか」
「大丈夫や、しかしな」
「ああ、今は大丈夫でもやな」
「神星が一人でも戦い様によってはあの娘に勝てるやろな」
 ここでこうも言った中里だった。
「僕等六将星でも芥川達四智星でもな」
「二人か三人がかりでも戦の仕方でか」
「そや、そこは頭の使い様やな」
「そこで五騎星は言わんか」
「それは先や」
 中里はビールを飲みつつ鵺に話した、そろそろ顔も手も赤くなってきている。酔いが回ってきたということだ。
「あの連中とも戦をするやろけどな」
「まずは太平洋でか」
「そや、太平洋で戦うからな」
 それだけにというのだ。 
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