本当の顔
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第四章
「大西さんのこと、喫茶店でアルバイトしてるよね」
「あのお店の親戚だからね」
「それでアルバイトしてるのよ」
「そうなんだ、じゃあ他にはね」
刑事の様に根掘り葉掘り聞く、それでだった。
女子達の間で忽ちだ、自由は話題になってしまった。
「彼久ちゃんのこと好きよね」
「間違いないわね」
「あの娘と話してたらいきなりだし」
「やたら聞いてくるから」
「それも根掘り葉掘りね」
「必死の顔で」
「間違いないわ」
そういうものを身ていると、というのだ。
「弓削君久ちゃんのこと好きね」
「相当お熱よ」
「そう思っていいわね」
「鉄板よ鉄板」
「鉄板っていうか確実よ」
久子のことが好きだということはとだ、女子達もわかってきた。しかも彼は久子のいる喫茶店に行くとだ。
いつも彼女ばかり見ていた、しかも毎日の様に行く。それで彼の友人達が彼に学校で呆れた顔で言った。
「おい、また言うがクールじゃないのか」
「本当に松岡さんみたいに熱いぞ」
「行動は違うけれどな」
「女の子達も噂してるぞ」
「御前があの娘のことばかり聞いてくるってな」
「自分からな」
「そうでもしないとわからないから」
自由は友人達にこう答えた、校舎の屋上で共にパンや弁当を食べながら。お昼時なのでそうしているのだ。
「だからだよ」
「あの娘のことがか」
「女の子達にどんどん聞かないとか」
「わからないっていうのか」
「そうだっていうのか」
「そうだよ」
自由の返事の調子は変わらない。
「だってあの娘のことを知らないってね」
「何も出来ない」
「だからか」
「ああして女の子達に片っ端から聞いてるのか」
「それも根掘り葉掘り」
「お巡りさんみたいに」
彼等もこう言うのだった。
「そこまでしてか」
「それで噂になっててもか」
「あの娘のこと聞いて知って」
「それからって考えてるんだな」
「好みもどんな人がタイプかも聞いたから」
それも何人もの女の子達からだ。
「僕は幸い外れてないし」
「好みのものをプレゼントしてか」
「それでか」
「告白する」
「そうするんだな」
「しかも一回で駄目なら」
自由は確かな顔で言った。
「二回三回ってね」
「告白するのかよ」
「何度もか」
「そうするのか」
「台湾式にね」
台湾では一度や二度断られても何度も告白するものだ、女性の方もそれがわかっていて何度も断るのだ。
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