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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十六話 教会の中その十四

「むしろ親父に原因がって言う人ばかりで」
「止さんはこのことには何も言わないのね」
「僕も何処となく聞いてましたけれど」
 それでもだ、ちょっと聞いてみたいもしたけれど。
「まあ色々あったとか」
「そう言われるだけなの」
「はい、事実はわかりません」
「お母さんのご実家は」
「連絡なしです、というか八条家自体にも関わろうとしてきません」
 親父とお袋が結婚した時点で絶縁状態になっているらしい、総帥さんが間に入っても駄目だったと聞いている。
「僕もそっちには行ったことないです」
「ご実家秋田よね」
「確か」
 お袋がそっちの生まれだった筈だ、親父もそこで知り合ってそれで結婚したと親父自身から教えてもらった。こうしたことは教えてくれた。
「そうでした」
「秋田ね」
「はい、そっちにいるんでしょうか」
「どうかしらね、ただね」
「ただ、ですか」
「多分。私の予想よ」
 千里さんはこう前置きして僕に言ってきた。
「うちのお父さんと総帥さんはね」
「お袋のことを知ってますか」
「どうしておられなくなったか、それに」
「今何処にいるか」
「それで尽力した筈でも」
「適わなかった」
「そう思うわ」
「総帥さんと会長さんはご存知ですか」
 言われてみるとお二人ならと思う、八条家のことであるしこの教会にも関わりのあることだからだ。
「そうなんですね」
「やっぱりね」
「じゃあ何とか」
「うちのお父さんかね」
「総帥さんにお聞きしてみます」
「そうしてね、ただお父さんもね」
「総帥さんもですね」
「元々口が固いし」
 少なくとも軽率な人じゃない、お二人共何かと人や世の中の複雑な事情それも言えないものをよく知るお立場だからだ。宗教関係にしても企業の経営者にしてもそうした話がどうしても縁があるものだ。
「それにこうしたお話は」
「滅多にですね」
「言うものじゃないから」
「僕でもですね」
「そう、義和君と直接関りがあることだけれど」
 僕のお袋のことだからだ。
「それでもね」
「言うにはですね」
「言えない話だから」
「それで、ですか」
「知るには相当にね」
「苦労することになりますか」
「そう、あと止さんもね」
 他ならぬ親父もというのだ。
「ご存知の筈よ」
「お袋がいなくなった理由を」
「だから誤魔化すのよ」
「色々とか言って」
「そうなのよ。若しご存知なかったら」
「親父の性格だと」
 ここでこのことから考えて言った。 
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