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夢幻水滸伝

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第五十四話 東西の戦その十一

「一気に攻めるで、そしてな」
「ご主人もやな」
「前に出るんやな」
「わしを連れて」
「そうするんやな」
「というかあんたに戦ってもらうわ」
 自身の神具である八岐大蛇にというのだ。
「そうしてもらうわ」
「わしのこの八つの頭でやな」
「思いきり攻めろっちゅうんやな」
「それで厩橋城を一気に攻め落とす」
「そうするか」
「空船と大砲でも威力はかなりやけど」
 見ればどちらも結構な数だ、関西の軍勢は前にも増してこうした装備を増やしているのだ。しかもどちらも新型である。
「それでもな」
「わしの力も使ってか」
「それでさらに攻める」
「それこそ一気に攻める」
「そうするんやな」
「そうしよな、うちも術使うし」
 綾乃自身もそうして戦うというのだ。
「そやからな」
「厩橋城は一気に攻略するか」
「そして城を占領して拠点にする」
「それでいこか」
「その様にな、ほな全軍で攻めるで」
 綾乃は全軍に城攻めを命じた、そうしてだった。
 まずは空船と大砲で城を攻めた、空からも陸地からも大砲を撃つ。それに対して厩橋城の方もだった。
 城内の大砲で攻撃する、宮沢は水破を引いてだった。 
 敵の空船を撃つ、するとその空船に大穴が空き落ちていく。だが宮沢はそれを見てもにこりともせずに言った。
「一隻沈めたら大きいだが」
「それでもですね」
「空船はまだいますし」
「陸から砲撃が行われていて」
「かなりの攻めですね」
 宮沢の周りにいる東国の兵達が言ってきた。
「大砲の数も空船の数も多いです」
「こちらの三倍いえ四倍はあります」
「そしてです」
「何よりも」
「八岐大蛇だ」
 宮沢も観ていた、八つの首と尾を持つ巨大な蛇が空から綾乃を乗せたうえでとてつもない攻撃を加えていることを。
 大蛇はその八つの頭にある口から様々なものを吐き城を攻めてきている、その激しさは大砲よりも遥かに激しく。
 厩橋城の城壁も門も櫓も壊していく、宮沢はその状況を見て言うのだった。
「噂には聞いてただが」
「恐ろしい強さですね」
「まさに縦横無尽の攻めです」
「国つまり城を崩すまでに」
「恐ろしい攻めです」
「凄いだ、敵ながら」
 それこそと言うのだった。
「これは何とかせねば駄目だべさ」
「そうです、しかもです」
「先程宮沢さんが沈めた船がです」
「大蛇の背に乗っている紫殿の術で穴が塞がれて」
「そうしてです」
「また空に上がっています」
「紫さんも凄いだ」
 宮沢は唸って言った。
「術の力が半端でないだ」
「全くです」
「これはかなりです」
「どうして守るべきか」
「あれだけの相手に」
「いや、出来るだけだべ」 
 宮沢は厩橋城を守りきれるとは思っていない、それで兵達にこう返した。それで彼等にあらためて言ったのだ。
「戦うべさ」
「守りきるのではなく」
「意地を見せてですか」
「そうして戦うべきですか」
「んだ」
 東北の訛りでその通りだと答えた。 
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