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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十三話 最後のお素麺その十三

「変な人達だけ言ってるんだよ」
「変なことを」
「そうだよ、しかしそんなことを言っても」
 僕は首を傾げさせてこうも思って言った。
「何にもならないけれどね」
「起源を言うより生み出すべきね」 
 友奈さんが言ってきた。
「むしろ」
「そうだよね」
「何かを」
「そうするべきよ」
「僕もそう思うけれどね」
 言われてみればだ、その方がいい。
 けれどだ、それでもだ。
「そう思わない人達もいるから」
「終わらない話ね」
「そうだよね、桜もね」
 夏には咲かない、春に少しの間だけ咲く。それだけに日本人にとっては思い入れの深い花だ。
「素直に楽しみたいね」
「起源とか言わないで」
「そうしてね」
 そのうえでとだ、僕はまた話した。
「素直に楽しみたいね」
「そうね」
「それが出来ない人もいる」
「世の中には」
「そうした人には」
 思えば思うだけだ。
「言っても無駄だろうしね」
「だから周りにね」
 その人に言わずにだ。
「言うべきなのよ」
「真実を」
「そう、真実を言えば」
 それでというのだ。
「周りがわかってくれてね」
「わかる人達が」
「それでね」
「そうしたことを言う人の言うことは誰も聞かなくなる」
「そうなるわ」
「そうだね、そのうちね」
「だから真実を言うべきなのよ」
 またこの話になった、友奈さんは三角に切っている西瓜を先から食べながら僕にもマルヤムさんにも話した。
「言うべき時にね」
「そうしていけばいいね」
「起源とかの話についても」
「そうだよね、真実が一番強いね」
「そう」
 その通りとだ、友奈さんは微笑んで言った。
「何よりも」
「言わないといけないけれど」
「言えばそれでね」
「何よりも強くなるんだね」
「そうしたものよ」
「言わないとっていうのはね」
 僕は日本人の倫理観から考えて少し苦笑いになった、真実は言わずともいずれ明らかになるという武士道的な考えについて。
「実は違うんだね」
「そうしている間にね」 
 言わないでいるその間にだ。
「嘘が広まるから」
「それでそちらが真実に思われるから」
「真実は言うべきよ」
 それが正しいことだというのだ。
「本当にね」
「そこが難しいね、ただ」
「ただ?」
「言えばそれで明らかになるなら」
 起源の主張にしてもその真実がだ。
「言うべきだね」
「言ったもの勝ちなのも事実だから」
 世の中というものはだ。 
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