レーヴァティン
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第五十五話 歌での戦いその四
「僕もそう思うよ」
「鬼みたいな軍隊か」
「うん、そうなるよ」
「正直俺が敵だったらな」
久志はその日本軍のことを思いこんなことも言った。
「あの当時の日本軍とは戦いたくないな」
「大戦中のだね」
「日露戦争の頃の日本軍もな」
「どっちもなんだ」
「ああ、強いし追い詰められても降伏も撤退もしないからな」
大戦中は五百人の日本軍の部隊がいれば四百九十五人が戦死するまで戦い残り五人は自決するとまで言われていた、実際にそうした戦いをしたケースが多くあった。
「それでだからな」
「戦いたくないんだね」
「俺が敵だったらな」
その時はというのだ。
「絶対にな」
「まあそれは多くの人が思うね」
「だよな、まあ旗揚げをしたらな」
「軍隊はだね」
「日本軍みたいにするか」
「そうしていこうね」
今からだ、彼等は旗揚げの話をしていた。そうしつつミラノへの道を進んでいた。道は整備されていて進むのは楽だった。
だが馬に乗りつつだ、清音は難しい顔で言っていた。
「ずっと歩いていたから」
「馬はか」
「ええ、どうもね」
同じく馬に乗る正に応えた、全員馬に乗っている。
「慣れないわね」
「そうか、しかしな」
「それでもよね」
「馬に乗るとな」
「それだけ移動が速くて」
「目的地に早く着くからな」
「いいのよね」
「時間は金だぜ」
正は清音にこのことも話した。
「だからな」
「歩くよりも馬ね」
「そうさ、俺達は船旅の時以外はな」
「馬に乗ってるのね」
「そうして旅をしているんだよ」
「馬はそれだけいいのね」
「そうだよ」
その通りだとだ、正は馬に慣れていない清音に話した。
「あるならな」
「乗るべきね」
「こうしてな」
「そうなのね、けれど本当に乗馬は」
手綱を持っている手の動きもぎこちない、座り方もそうで慣れていないのは誰が見ても明らかである。
「難しいわね」
「毎日何時間も乗っているとな」
「慣れるのね」
「俺は乗りながらだ」
そうしつつとだ、正は清音にさらに話した。
「弓矢を使えるぞ」
「両手を使って」
「弓矢は片手で使えるか」
「いや、無理よ」
当然だとだ、清音は即答で返した。
「私の竪琴もだけれど」
「そうだな、しかし俺は馬に乗ったまま弓矢を使える」
「それで戦えるの」
「しかも駆けさせることも出来る」
その馬をというのだ。
「それも出来る」
「そんなことが出来るの」
「ああ、今じゃ普通にな」
「普通にって」
「だから慣れるとだ」
「馬を駆けさせながら弓矢を放って敵を倒せるのね」
「それが出来たらかなり強いからな」
所謂弓騎兵だ、アッシリア帝国からこの兵種ははじまったが当時アッシリアはこの弓騎兵で無敵を誇った。
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