八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十三話 最後のお素麺その一
第百五十三話 最後のお素麺
お昼に食堂に来たのは本当に少しの人達だった、僕とマルヤムさんに友奈さんそれに畑中さんだった。
僕はまず畑中さんにだ、奥さんのことを尋ねた。
「お昼奥さんは」
「ご本家の方に行っています」
「八条家の、ですか」
「はい」
その通りだというのだ。
「それでお昼はこちらにはいません」
「そうなんですね」
「そして他のスタッフもです」
八条荘で働いてくれている人達もだ。
「いません」
「後は小野さんだけですか」
「はい」
シェフのこの人はいてくれているけれどだ。
「皆休暇や外にです」
「出ていますか」
「そうです」
「そうですか、だからですね」
「今日のお昼はこれだけです」
この四人だけだというのだ。
「夏休みのお昼は大抵こうです」
「そういえば」
僕もここで気付いた、夏休み八条荘にこの時間いたのは滅多になかった。はじめての気もする。
「僕は今一つ」
「この時間にですね」
「ここにいた記憶はないです」
このことを畑中さんにもお話した。
「どうにも」
「皆さんご用件がありますので」
「だからですね」
「この時間はです」
お昼はというのだ。
「そして学校のある間も」
「使用人の方々がおられても」
「皆さんはおられないので」
それでというのだ。
「その分寂しいです」
「そうですか」
「私は基本八条荘にいますが」
「やっぱり執事さんだからですか」
「はい」
その通りだという返事だった。
「左様です」
「やっぱりそうですか」
「執事はお屋敷にいるものです」
勤めているそこにというのだ。
「ですから」
「大抵はですか」
「ここにいます」
八条荘にというのだ。
「この様に」
「そうなのですね」
「そしてお昼もです」
「いつもですか」
「こちらで召し上がっています」
八条荘でというのだ。
「そうしています」
「そうなんですね」
「それで今日のお昼ですが」
そちらはというと。
「お弁当の残りにお素麺です」
「あっ、お素麺ですか」
「はい」
そうだというのだ。
「そちらになります」
「そうですか」
「もう夏も終わりなので」
畑中さんもこう言った。
「小野さんが提案されまして」
「それで、ですか」
「お素麺になりました」
今日のお昼はというのだ。
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