八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十二話 あと二日その七
「広島にはね」
「負け越しているでござるか」
「そうだと思うわ。それとね」
「それと、でござるか」
「いざという時は」
本当にここぞという時はだ。
「危ない時が多いのも」
「呪いでござるか」
「そうかも知れないわ」
「阪神は苦難のチームでござるな」
「何かと」
「そういえばでござる」
ここでこんなことも言ったマルヤムさんだった。
「苦難の行軍という言葉があったでござるな」
「あの将軍様のお国ね」
友奈さんはマルヤムさんの今の言葉がどの国かすぐにわかった。
「世襲制の共産主義の」
「そうだったでござる、確か」
「あの国の言葉は」
それこそとだ、友奈さんは言った。
「おかしいから」
「国家システムだけでないでござるな」
「もっと言えば何もかもがおかしいから」
本当にそう思う、あんな奇怪な国があること自体が世界の不思議だ。漫画に出てきそうな国だ。それもギャグ漫画に。
「気にしないで」
「そうでござるか」
「そう、あの国の苦難はね」
「失政でござるな」
「それだから。阪神は呪いよ」
多分に自業自得だけれどだ、そもそも何で一緒に道頓堀に入れたのかが理解に苦しむことだ。
「そこが違うわ」
「また別でござるな」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そこが違うのよ」
「失政とはでござるな」
「ミスも多かったけれど」
阪神の歴史の中ではだ、謎のスター選手放出だの退団だのいうスキャンダルも過去にはよくあった。
「それでもね」
「失政ではないあるか」
「あそこまで変な失政は」
ミスを失政と言うならだ。
「なかったわ」
「そうでござったか」
「それに似てないわ」
阪神とあの国はというのだ。
「あの国は巨人よ」
「自称球界の盟主でござるな」
「自称ね」
この間違った考えこそが日本の野球ひいては戦後日本のモラルを著しく歪めてきた、僕は確信している。選手の強奪や専横を繰り返してきたこのチームを盟主なぞとは正義への冒涜に他ならない。
「オーナーはワンマンでやりたい放題だから」
「将軍様でござるな」
「だからね」
まさにそうした有様だからだ。
「あのチームこそがね」
「将軍様の国でござるか」
「私はそう思うわ」
「阪神とは全く違って」
「そうした国よ」
友奈さんもハンバーガーを食べている、そのうえでマルヤムさんに話す。
「巨人は」
「ああした国の様なチームが正義なら」
「盟主風吹かしてね」
「日本もおかしくなるでござるな」
「だから」
友奈さんはその独特の抑揚のない口調で述べた。
「おかしな人も残念ながら」
「多いでござるか」
「そうよ」
そうなっているというのだ。
「残念ながら」
「嫌なお話でござるな」
「本当にね」
「日本も大変でござる」
「巨人が中心なんて考えは」
野球のだ。
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