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夢幻水滸伝

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第五十話 東国その五

「大きく分けまして」
「三つか」
「太平洋の国政はこう考えています」
「そこまで考えてるか」
 中里も唸ることだった。
「凄いな」
「そうでしょうか、ただ私は」
「太平洋をどう治めるのを考えてか」
「そのうえでのことなので」
「特に凄いとは思うてへんか」
「はい」
 そうだという返事だった。
「あくまで、です」
「太平洋の内政やな」
「そうです」
 まさにという返事だった。
「そして国力を備え」
「太平洋から世界か」
「そう進めていきましょう」
「インドロシアの連合と欧州とやな」
「争うことになるでしょう」
「そうなるか、しかし太平洋とアフリカの大半を領有したら」
 ここでだ、こうも言った中里だった。
「この世界の七割は領有してな」
「国力ではですね」
「他の二つの勢力圧倒出来そうやけど、やな」
「はい、それだけでどうなるかといいますと」
「言えんな」
「国力は確かに重要ですが」
 それでもと言うのだった。
「しかしです」
「それだけで勝てる程世の中は甘くないか」
「そうです、ですから」
「その国力をさらに高めてやな」
「僕等も頑張って」
「そうして勝っていきましょう」
「つまり国力と人材やな」
 その両方だとだ、中里は結論を出した。
「どっちも効果的に使ってこそか」
「勝ち残っていけます、そしてそれは」
「今現在もやな」
「日本の西国は統一しました、次は」
「東国やな」
「彼等も我等の勢力に組み込み」
 そうしてと言うのだった。
「日本統一を果たしましょう」
「そやな、やっとここまできたと思うけど」
「はい、日本統一はです」
「僕等の戦略の第一段階か」
「それに過ぎません」
「その後こそが大事やな」
「太平洋統一は第二段階になりますが」
 これが、とだ。太宰は中里に落ち着いた知的な声で話した。
「これがです」
「日本統一より遥かに難しいな」
「日本の中で我々は第一の勢力であり続けていますね」
「僕がここに来る前からやな」
「はい、都から順調に勢力を拡げていました」
 そうしていたというのだ。
「この時のことはおいおい詳しくお話させて頂きたいですが」
「僕からもな」
 芥川も中里に言ってきた。
「そうしたいわ」
「そうか、じゃあ日本統一した時にでもな」
「詳しい話をやな」
「聞かせて欲しいわ」
「ほなな」
「ではです」
 芥川の話が終わったまた話す太宰だった。
「お話の続きですが」
「ああ、太平洋統一の時はな」
「日本は間違いなく国力も兵の数も一番劣っています」
 太平洋の覇権を競う諸勢力の中でというのだ。 
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