ドリトル先生と和歌山の海と山
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第七幕その一
第七幕 高野山に着いて
高野山に着くとです、皆は口々に言いました。
「遂に着いたね」
「今回の旅の最大の目的地に」
「色々回ったけれどね」
「遂に来たわね」
「高野山に」
「そうだね、来たね」
先生も皆ににこりとして応えました。
「高野山に」
「そうですね、ただ」
ここでトミーが先生に言いました、皆で高野山の中を進みながら。
「ここは思ったよりも」
「どうしたのかな」
「いえ、寒い感じがしますね」
「ああ、九度山よりもだね」
「聞いていたよりも」
お肌で感じると、というのです。
「寒いですね」
「そうだね、僕もそう思うよ」
「寒くて清潔な感じがします」
こうした感覚も感じるというのです。
「どうにも」
「流石と言うべきかな」
こう言ったのは王子でした。
「空海さんが開いただけにね」
「霊山だね」
「聖地だよね」
王子は先生に言いました。
「ここは」
「そう言っていいね」
「都を守護する場所の一つで」
「そう、比叡山と共にね」
「ここにいると」
本当にと言う王子でした。
「心が清められる感じがするよ」
「こうしているだけでね」
「自然とね」
「少しずつでも心が奇麗になる」
「そんな感じがするわね」
動物の皆も言いました。
「不思議なことに」
「ここにいるとね」
「他の神社仏閣と同じで」
「そんな風に思えるわ」
「これが空海さんの山なのね」
「そうだね、山自体がね」
まさにと答えた先生でした。
「聖地でね」
「だよね、やっぱり」
「ここはそうした場所よね」
「山自体がお寺なのよね」
「このことも比叡山と一緒だったわね」
「比叡山は延暦寺でこの高野山は金剛峯寺でね」
そのお寺としての名前もお話した先生でした。
「あちらは天台宗、こちらは真言宗だよ」
「同じ仏教でね」
「宗派が違ってて」
「仏教の中の密教で」
「また違うんだよね」
「そうだよ、どっちも密教でね」
仏教の中でというのです。
「そしてね」
「宗派が違って」
「それぞれだね」
「比叡山と高野山にあって」
「京都を護ってるんだよね」
皆も先生からのお話を聞いて頷きました。
「昔はあそこが日本の首都だったから」
「首都を護る為にだね」
「それぞれあったんだよね」
「今もあるけれど」
「そう、比叡山は丑寅の方角でね」
その方角のお話もする先生でした。
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