夢幻水滸伝
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第四十九話 軍師の傾きその十一
「戦よりもな」
「外交で、ですね」
「ことが済めばええわ」
それでというのだ。
「戦はやっぱりな」
「出来るだけ、ですね」
「せん方がええやと」
「確実に勝てるものでもなく、ですね」
「民も国も傷付くからな」
芥川はこのことをよく認識している、それで軍師としてまずは戦よりも政つまり外交でと考えているのである。
「それでや」
「戦よりもですね」
「そっちで済めばええ、そしてや」
「戦になってもですね」
「すぐに終わらせる」
そうするというのだ。
「長い間やる戦は百害あって一利なしや」
「そうですね、まことに」
「では東国との戦も」
「即刻終わらせることを念頭に置いて考えてく」
芥川は雅にも答えた。
「そうするからな」
「わかりました」
雅は芥川のその言葉に頷いて応えた。
「ではその時は」
「ああ、大軍と星の連中つまり僕等の力を使ってな」
「一気にですね」
「東国に雪崩れ込んでな」
そうしてというのだ。
「戦を終わらせるで」
「そうしますか」
「ほんまにな」
一気にというのだ。
「そうするわ、ただな」
「あくまでそれは策の段階ですね」
「実際に動くとな」
「そうなるとは限らないですね」
「そや、それを実際に進む様にしていくことが大事や」
「机上での話よりも」
「現実にやってくんや」
まずはというのだ。
「そうしてくで」
「わかりました」
雅は芥川のその言葉に再び頷いた、そのうえでこう言った。
「今我々は二十六万の軍勢がいます」
「対する東国は十四万や」
「兵力の差はかなりですね」
「そしてや」
「さらにですね」
「星の数はあっちは九人でな」
「対する我々はといいますと」
そちらはというと。
「三十九人ですね」
「星の数の差が大きいな」
「そしてや」
「国力はさらにですね」
「ちゃう、人口はずっとや」
それこそだった。
「ちゃうからな」
「一億四千万の人口のうちで」
この世界での日本のおおよその人口である。
「我々は九千万です」
「対する東国は五千万や」
「そしてその大半が関東にいますね」
「三千万はな」
おおよそそうなっているのだ。
「特に江戸にな」
「あちらにでしたね」
「江戸か」
室生はこの世界のこの街について話した。
「江戸城も巨大だが」
「街もやな」
「見事なものだ」
「あそこも横浜も横須賀もや」
そうした街を全てというのだ。
「出来るだけや」
「無傷でだな」
「手に入れたいわ」
「それが出来れば」
「もうそれだけでな」
まさにというのだ。
「かなりの国力になるからな」
「そうだ、東北にしてもな」
この地域もというのだ。
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