夢幻水滸伝

「必ずです」
「ここで付け込む様なことはやな」
「せんてやな」
「わかります」
「綾乃ちゃんも中里もそんな奴ちゃうわ」
　二人のことは正宗達よりもよく知っているという自負があった、それで芥川は正宗に対して笑って話した。
「絶対にな」
「そうですね、まことに」
「二人の全部を知ってる訳やないけどな」
　それでもというのだった。
「あの二人はそこでそんなんせん」
「そして芥川殿も」
「そこまで言ってるならな」
「それでやな」
「ここはお願いします」
「巨人倒してくで」
　今も戦闘が行われている、そしてだった。　
　芥川はその戦闘の中で三光手裏剣を投げつつまた貝殻を出してその向こうにいる佐藤兄妹に対して言った。
「自分達もや」
「そちらに行ってですね」
「そのうえで」
「そや、巨人達を倒すんや」
　こう言うのだった。
「自分達もおったらさらにええ」
「そうですね、星の者は多いに限ります」
「特にこうした時は」
「ほな今から」
「私等も行かせてもらいます」
「軍勢も連れて来るんや、ただしや」
　ここで芥川は二人に釘を刺した。
「今は攻め込むんやないで」
「巨人と戦う」
「そちらですね」
「敵は巨人」
「東海北陸との戦やないですね」
「そのこと兵達全員によく伝えておくんや」
　このことを言うのも忘れなかった。
「ええな、ほな今からすぐにな」
「はい、岐阜を救いましょう」
「巨人達から」
　兄妹も頷いた、そうして二人は自分達だけでなく兵達も率いて岐阜の街を囲んでいる巨人達に対して攻撃を仕掛けた。
　関西の軍勢、しかも星達まで加わってだった。巨人達は次から次に倒されていきそうしてであった。
　数をどんどん減らしていった、特に芥川が巨人達を倒していってだった。
　巨人達の数は何時しか普通に数えられる位にまでなり最後の一体は滝沢が跳躍し今剣でその首を断ち切り倒した、後に残ったのは魔物達が倒されると残す金だけが残った。金は巨人達のものは相当にあった。
　巨人達との戦が終わってだった、芥川は滝沢達に言った。
「これで終わったな」
「助けて頂き有り難うございます」
　滝沢と正宗はその芥川と彼の後ろにいる佐藤兄妹に深々と頭を下げて礼を述べた。
「お陰で岐阜の街が助かりました」
「民達も田畑も工場も」
「若し貴方達が来てくれないと」
「どうなっていたか」
「礼はええわ、相手が相手や」　
　芥川は二人に笑みを浮かべて返した。
「それは最初に言ったやろ」
「こうした時は違う」
「その様にですね」
「そや、それでや」
　こう言うのだった。
「気にせんでええ」
「左様ですか」
「そう言って頂けますか」
「そや、ほな僕等はこれでな」
「帰られますか」
「岐阜の西に」
「また会おうな、そしてまた会う時はな」
　その時の話もする芥川だった。
「戦や、思う存分戦うで」
「そうですね、では」
「またお会いしましょう」
　二人も笑みになり芥川に言葉を返した、そしてそのうえでだった。滝沢は芥川にこう申し出たのだった。