夢幻水滸伝
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第四十九話 軍師の傾きその四
「今はそれどころやないわ」
「巨人が、それもこれだけ出たらな」
「何百もな」
「戦どころやないわ」
「それこそ災害や」
そう言っていいまでだからだというのだ。
「そやからな」
「ここはな」
「東海北陸の人等と一緒に巨人をやっつけて」
「民も街も護る」
「他のものもな」
田畑や工場等産業に関するものもというのだ。
「そうせなあかんからな」
「そやからやな」
「今からや」
まさにというのだ。
「巨人と戦おうな」
「ああ、この岐阜でもな」
「それでやけど」
綾乃の方から芥川に言ってきた、芥川はここで今の話が自分からかけたものだというのに綾乃のペースになっていることをはっきりと認識した。
だが今の東海北陸の民達にとって悪い流れではない、それで綾乃の話を聞いてそのうえで話を続けた。
「巨人をやっつけてもな」
「わかってるわ」
芥川はその綾乃に笑って答えた。
「そのことはな」
「中里君もそう言うてたわ」
「あいつはそういうことわかってるからな」
「そやろ、それでな」
「僕等もやな」
「それでいこな、巨人達はやっつけるけれど」
「それでもな」
二人で話してそうしてだった。
芥川は綾乃との話を終えてそのうえで滝沢達に言った。
「はっきり言うで、今は領土も銭も何もいらん」
「そうしたものはですか」
「一切ですか」
「そや、そんなことより民や」
まずは彼等だというのだ。
「そして街に田畑やろ」
「だからですか」
「今は」
「そや、そんなんはいらんわ」
一切、というのだ。巨人達との戦いに助力をしたので礼としてそうしたものを要求することはしないというのだ。
「そやから安心せえ」
「芥川さんは敵ですが」
滝沢がその芥川に答えた。
「貴方のことは存じているつもりです」
「そう言ってくれるか」
「はい、そのお人柄は」
「拙僧もです」
正宗も芥川に言ってきた。
「芥川殿のお人柄は存じているつもりです」
「それでか」
「はい、ここはです」
「そのお言葉信じさせてもらいます」
「言葉だけの空手形になるかも知れんで」
芥川は自分を信じると言ってきた二人に笑ってこうも言った。
「途中僕が何するかわからんけどか」
「何も知らない人なら別です」
滝沢は明るい笑みで芥川にまた答えた。
「その場合はです」
「信じへんか」
「助力を申し出られても」
例えそうしてきてもというのだ。
「お断りしていました」
「僕を知ってるからか」
「確かに戸惑いどうかと思いましたが」
それでもというのだ。
「我々も決めました」
「名古屋や加賀でも同じですね」
正宗は芥川と綾乃の貝殻でのやり取りを聞いていたのでこのことから話した。
「関西の星の方々が助けに来られてますね」
「その様やな」
「紫さん、中里さんならです」
二人のこともだ、正宗は話した。
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