獣篇Ⅲ
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15 荒手のドッキリは心臓に悪い。
道具をバッグに全て分類・整理し終わってからおしぼりタオルを取り出して、沸かしたお湯に漬けながら体をふき、ブラトップと半ズボンに着替えた。荷物を整え、布団に寝転がり、蝋燭を火をつけランタン代わりにして電気を消した。もちろん蝋燭は、永遠に消えないように魔法が掛かっている。
そこまで終えてからやっと、眠りについた。
***
翌朝起きてたら、まず出来上がっていたポリジュース薬を瓶に詰め、バッグの中に全部しまった。
そして掛けておいたいつもの服を着て準備を済ませてから最終の荷物まとめを終わらせ、テントを片付けた。
***
計画通り宿屋を手配した後、反物屋へと出かけた。お目当ての品物をgetしてから宿の部屋に戻ると、なぜか晋助がいた。
_「よォ、帰りが遅ェから迎えにきてやったぜェ?」
なぞ宣いだす始末だ。
せっかくの男手ができたのだ。これを利用しない手はない。
_「あら、それはそれはおおきに。
ついでだから暇だったら手伝ってくださらない?」
と聞くと、いやオラァただのんびりするだけだ、と言って、決して動こうとはしなかった。ムカついたから軽く蹴っ飛ばすと、背中をとられた。いや、正確にはとられてやったのだ。
_「オイ、零杏?総督様にそんなことしていいのかァ?」
今、うつ伏せに倒れているその上に晋助が乗っているので、身動きができない。
_「あらごめんなさい、長い足がつい縺れてしまって。ご迷惑をおかけしましたわ。」
と言うと、かかる重さが倍になった。
なんだ、晋助でも手加減をしていたのだな。安心した。
ぐぇ、と呻いていると急に腕をひっ捕まれてそのまま晋助の腕の中にすっぽり埋まってしまった。
_「何ですか?私は魚ではありませんよ?」
と冗談めかすが、本当は間近に迫った整った顔立ちにちょっとドキッとした。うーん、一生の不覚。www
だがまだやるべきことはたくさんある。
_「ちょっと私は、まだするべきことがあるから、離してくださるかしら?もし手伝う気がないんなら、さっさと離してくださらない?」
と強めに言うと、意外な答えが帰ってきた。
_「オレも手伝うぜェ?…まぁ、一応手伝ってやらァ。」
今日は、赤い雪が降るぞ。wwww
_「そう。ありがとう。
じゃあ早速手伝ってー」
と言って、反物を出す。
_「で?これをどうすりゃいいんだァ?切って縫いでもすりゃァいいのか?」
_「そうそう。頭の回転はいいわね。じゃあ、早速手伝ってくださる?」
_「あァ、いいぜ?だがな、一つ条件がある。」
どさくさに紛れて何を言い出すのか。
_「条件?」
_「オレの嫁になれ。」
突然放たれたその言葉に、私は固まってしまった。一体何を言っているのか。全然理解できない。
_「は?何か幻聴が聞こえてきたんだけど…」
_「オレの嫁になれ。」
_「ん?」
_「オレの嫁になれ。」
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