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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十一話 宗教と妖怪その七

「結構サイコパスなところがあったことか」
「かっとなって酷い殺し方をする」
「そうした人だったみたいで」
「むしろよね」
「こっちの人の方が怖いです」
 実在人物だっただけにだ。
「どうにも」
「ドラキュラ伯爵はね」
「怖いですけれど」
「恰好よくてね」 
 所謂ダンディズムだ、原作では実はかなり恐ろしい外見をしているけれど映画等ではそうした感じだ。
「紳士で」
「残酷でも」
「サイコパスかっていうと」
「違うんですよね」
「悪の美学ね」
 夜の世界のそれと言うべきか。
「それがあってね」
「怖くてもですね」
 そして残酷でもだ。
「気品もあって」
「観られるのよね」
「けれど実際の人は」
 そのブラド四世はというと。
「もう串刺しとか」
「色々となのね」
「人を殺しまくっていましたから」
 もう目をくりぬいたりとか無茶苦茶をしていたらしい。
「もっと怖いですね」
「そうなのね」
「だからそっちの人の方が怖いですね」
「実在人物の方が怖いっていうのは」
「意外ですか」
「どうもね」
 日菜子さんにしてはというのだ。
「というか日本でドラキュラ伯爵っていうと」
「あっ、天草四郎さんですね」
 僕はすぐにこの人だと話した。
「不知火検校ですから」
「不知火検校?」
「はい、この人も吸血鬼になっていまして」
 その天草四郎さんもだ。
「横溝正史さんの小説では」
「あの金田一耕助の」
「はい、ドラキュラ伯爵のお話をモデルにして書いていまして」
「日本の吸血鬼ものね」
「そうなんですよ」
 細部は色々と和風になっていてだ。
「それでドラキュラ伯爵の位置にです」
「天草四郎さんがいて」
「江戸の町で色々と暗躍するんです」
「それ面白そうね」
「面白いですよ、ドラマにもなっていて」
 僕はこちらの話もした。
「田村正和さんが主演だったんです」
「ああ、警部補さんね」
「はい、あの人が」
 整った顔立ちだけれど凄く癖のある俳優さんだと思う、何でもテレビに映っていないところでも独特な人らしい。
「主演でして」
「ドラマにもなっていて」
「たまに再放送とかされるとか」
「DVDではないの」
「そうみたいですね」 
 残念ながらだ。
「どうやら」
「それは残念ね、ただ」
「ただ?」
「いえ、天草四郎さんってのが面白いわね」
 僕にこう言ってきた。
「ドラキュラ伯爵になるのが」
「そうですね、いい発想ですよね」
「ブラド四世は物凄く残酷だけれど」
 ルーマニアでは英雄だという、祖国を護る為に果敢に戦った。
「天草四郎さんはね」
「悲劇の主人公ですよね」
「そんなイメージだからね」
 それでというのだ。 
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