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第五章
「今回もかい」
「はい、申し訳ありませんが」
「わかったよ。じゃあね」
「では仕事に戻ります」
真面目に働くキャサリンだった、キャサリン=クロードはとかく真面目で勤勉なメイドだった。しっかりとしていて後輩への指導も親切で丁寧だ。しかも温厚な性格で怒ることもない。そうしたこともリチャードの好みなのだ。
だが、だ。そのキャサリンに断られてだ。リチャードはまたぼやくのだった。
「全く、何度告白しても」
「そうしてもですね」
「イエスと言ってくれうないね」
こうオリバーに言うのだった、家で仕事をしつつ。
「やれやれだよ、しかしね」
「それでもですね」
「君が言った通りにね」
「これからもですね」
「アタックしていくよ」
諦めずにというのだ。
「そうしていくよ」
「そうです、若し想われているのなら」
キャサリンをというのだ。
「それならです」
「次もだね」
「告白されるべきです、ただ」
「ただ?」
「キャサリン嬢ならいいですが」
それでもとも話すオリバーだった。
「悪女ならば即座に受け入れて色々おねだりをしてもきます」
「僕が好きなんじゃなくてだね」
「旦那様の資産が好きだったりします」
「そこを好かれてもね」
どうかとだ、リチャードはオリバーに眉を曇らせて答えた。
「僕としてはね」
「快くありませんね」
「到底ね」
「はい、若しくはです」
「まだあるんだ」
「旦那様の外見が嫌だと即座に言われて後でご自身の友人達に旦那様の悪口を言い回ったり告白をされた旦那様に公の場で恥をかかせる」
オリバーはリチャードに淡々と述べていく。
「その様な女性はです」
「好きになってもだね」
「私が止めます」
そうするというのだ。
「絶対に」
「そうしてくれるんだね」
「そうした女性は好きになってはいけません」
断固とした口調だった。
「そこは」
「キャサリン嬢だからいいんだね」
「はい」
その通りという返事だった。
「彼女ならです」
「いいんだね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「励まれて下さい」
「アタックにもだね」
「旦那様のお心をぶつけるのです」
キャサリン、彼女にというのだ。
「キャサリン嬢を想われるのなら」
「うん、僕も気持ちは変わらないよ」
書類をしっかりと読みつつだ、リチャードはオリバーに答えた。
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