夢幻水滸伝
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第四十八話 再戦その一
第四十八話 再戦
坂口は駿府城、駿河の中心地であり東海の東の要であるこの城の中で雅の話を聞いて唸って言った。
「高くついたぎゃ」
「はい、あちらも足元を見てきました」
雅は自分の前にいる坂口に苦い顔で応えた。
「それで、です」
「あれだけの銭を払っただがや」
「甲斐の金山での蓄えの半分以上を支払いました」
「十万両、高かっただがや」
「全く以て」
「北陸もだしたがや」
「あちらも十万両です」
合わせて二十万両だった。
「佐渡の金山からです」
「室生も痛い出費だったがや」
「しかし講和は成りました」
雅は坂口にこのことも話した。
「有り難いことに」
「東国とは講和したがや」
「それではです」
「いよいよだがや」
「関西と雌雄を決しましょう」
是非にと言う雅だった。
「これより」
「よし、では兵を西に向けてだがや」
「そうしてですね」
「関西の連中と戦うだがや」
「今我々の兵は北陸と合わせて六万です」
雅は兵の数の話もした。
「対する関西は今や二十万」
「わし等が東国と睨み合っている間に凄いことになったがや」
「はい、彼等はその間に西国を統一しました」
まさにだった。
「国力もかなりのものになり兵もです」
「二十万、多いがや」
「そしてその二十万の兵の主力を我々に向けてきています」
「攻めてくるがや」
「その可能性が高いで」
「全く、厄介なことになったがや」
坂口は腕を組み難しい顔で言った、胡坐をかいているその姿は実に人間的であり雅は内心親しみを感じていたが言葉には出さなかった。
「六万と二十万では全然違うがや」
「はい、しかもです」
「星の連中もだぎゃ」
「我々は六人ですが」
「相手はもう何十人だがや」
「内政を行う人材も得ています」
雅はこのことも話した。
「その彼等と戦うとなると」
「劣勢は否定出来ないだがや」
「はい、しかしですね」
「このまま諦めることはしないだがや」
はっきりとだ、坂口は雅に答えた。
「室生とも話してだがや」
「そうしてですね」
「攻めるぎゃ」
「そうされますか」
「そして勝つだがや」
何としてもという返事だった。
「関西の連中に」
「そうですね、では」
「滝沢と正宗も呼ぶだがや」
彼等もというのだ。
「名古屋城に集まってだがや」
「これからのことをお話しますか」
「そうするだがや」
「では甲府城にいる二人に連絡し」
雅はすぐに応えた。
「そうしてですね」
「そうだがや」
まさにという返事だった。
「室生と鈴子ちゃんも呼ぶだがや」
「わかりました、それではすぐに」
「兵を西に戻してわし等も名古屋城に集まるだがや」
こう言ってだった、坂口は東海と北陸の星の者達を名古屋城に集めた。そして彼等の兵は関西との境に向けさせた。
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