獣篇Ⅲ
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9 スパイは計画をたてるのが上手い。
_「分かったヨ。じゃあ、華蛇をついでに捕まえてきてもらうまでを項目にいれておくから、シンスケ、零杏。あとは頼んだヨ。」
よし、かかった。
_「本当に?分かったわ。ありがとう、神威。」
と、満面の笑みを浮かべれば、完璧だった。
神威と別れて部屋を出ると、待機していた万斉やまた子が声をかける。
_「晋助、零杏。もう会議は終わったでござるか?」
あァ。と晋助が応える。
_「神威があんな風に言うのは、なんか胡散臭いって思ってたんスよ。何かあったッスか?」
_「そうそう、そのことなんですけどね、あとで晋助さんの部屋に集合を掛けてください。話しておくべきことがありますので。」
そうッスか。とまた子。
了解したでござる。と万斉。
_「それでは、帰ったら即お願いしますわね。」
***
集合のかかった鬼兵隊の幹部たちが集まったところで、私は話を切り出した。
_「早速ですが、今回春雨から私たちに一つ、依頼が来ています。それは…」
と、会議室の前に置いてあるボードに神威から渡された女の写真を張り付ける。
_「かぶき町に潜んでいるこの女を捕まえて、春雨に連行してくれないか、と。」
全員を見渡す。皆真面目に話を聞いていた。
_「第七師団団長の神威殿からのご指名で、この件は私が指揮いたします。では、早速この女についての説明を致しますわ。」
量産した写真と、女についてを簡単に説明した文章を載せたレジュメを配る。
全員に行き渡ったところで話を再開した。
説明をし終わったところで質疑応答に入る。
_「これについて何か、質問はありますか?」
また子が手を挙げる。
_「女はかぶき町に潜伏している、ッて言ってたッスが、実際にどこらへんにいるのか、は見当が着いてるッスか?」
ええ、その事についてなのですが、
と、私が応える。
_「女の居場所は掴みました。今では彼女はかぶき町四天王の地位にまで上り詰め、且つ、『孔雀姫』とのあだ名まであるようです。」
万斉が手を挙げる。
_「女は元は春雨の団長でもあったのでござろう?ならば捕らえるのは中々難しいでござろうが、そこら辺はどういう作戦でいくか、大体の見当はついているでござるか?」
_「詳しくはまだ立てていませんが、参謀と計画を立て終わり、総督に許可をもらえ次第、皆さんに仕事を振り分けます。」
よろしいですか? と了解をとる。
皆がokを出したので、会議は終わり、皆それぞれ解散となった。
部屋に残った武市と私は、計画を立てるべく、計画書を作り始めた。もちろん、行うのは晋助の部屋である。だからもちろん、晋助も見守っている。立場的には監督者ということになるのだろうか。
_「さて、零杏サン?どういう計画にするのですか?」
_「まず、目標は標的をあぶり出すことです。なので、まずは奴に近づかせる働き蜂を用意します。」
_「それには誰を使うのです?」
煙管を咥えながらペンを取る。
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