八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十九話 夏は終わりでもその十一
「狼と比べるとだ」
「強さが違いますか」
「体格を抜いてもな」
「そうなんですね」
「特に土佐犬はな」
「そうですか、わかりました」
「そしてだ」
井上さんは僕にさらに話してくれた。
「ニホンオオカミは肉食だが」
「それでもですか」
「大人しい方だ」
僕にまたこの気質を話してくれた。
「人の後ろについて来る習性が不気味に思われていたが」
「送り狼ですね」
「一匹で人の後ろを付けて来る、な」
山道の中でだ、何も知らない人が見ると確かに怖いだろう。
「それがだ」
「送り犬って妖怪にもなっていて」
「人をつけてくるがだ」
「何もしてこないですね」
「そうだ」
ただそれだけだというのだ。
「自分達の縄張りから出るかを見張っているらしいな」
「そういうことですね」
「ニホンオオカミは大人しい」
「そして人の役に立っていた」
「そうしや生きものだったのだ」
「だから神様として崇められてもいたんですね」
「『おおかみ』とされてな」
日本語ではそう呼んでいた、漢字の訓読みではなく音読みだ。
「そうなっていた」
「そうでしたね」
「生態系、環境の維持にも貢献してくれていて」
「有り難い獣だったのだ」
「そういえば日本は」
我が国の野生動物についてだ、僕はここで気付いたことを井上さんに話した。
「北海道にはヒグマがいて海には鮫もいますが」
「それでもというのだな」
「はい、猛獣は少ないですね」
「ライオンや虎の様なな」
「大蛇とかも」
そして鰐もだ。
「そうした生きものはいないですね」
「そしてそれがか」
「日本の特徴の一つですね」
「我が国の自然のな」
「実際にそうですね」
「そのヒグマも実はかなり少ない」
日本で最も大型の肉食生物もというのだ。
「実はな」
「それでニホンオオカミがいなくなると」
「生態系が崩れたのだ」
食物連鎖で大型肉食獣はその頂点にいるうけれどだ。
「今の様にな」
「そういうことですね」
「我が国の生態系はそこが弱点だった」
「大型の肉食獣が少ない」
「狼や熊位しかいない」
「だから狼がいなくなると」
熊は雑食なので肉類を食べない場合も多い、魚を食べることも多いし冬はしっかりと島民する。
「そのせいで、ですね」
「生態系が狂うのだ」
「虎とかがいないので」
「オオヤマネコ等もな」
北アメリカや欧州にいる大型の肉食動物だ、やはり猛獣だ。
「いない」
「だからですね」
「人間が襲われなくていいのだが」
虎等がいないとだ。
「その分だ」
「生態系が脆いところがあるんですね」
「そういうことだ」
「そうなんですね」
「そのことがわかったのはな」
「後になってから、ですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
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