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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第六十一話

 
前書き
どうも、今回の話の中には、実際に体験した話がいくらかあります。まさか小説のネタになろうとは…………。 

 

 
「皆さん!追いかけますよ!!」
 
私はそう叫びながら図書室から勢いよく飛び出た。
 
「私と榛名さんは左回り、古鷹さんと弥生ちゃんが右回りを!」
 
「「「了解!」」」
 
私と榛名さんは左に向かって歩き出した。奴はどこに潜んでるのか分からない。だから絶対に見逃さないようにしないといけない。
 
私は掃除に使っていた箒を構えて前に進む。
 
「いいですか?もし見つけたら容赦なく殺ってください。」
 
「…………はい。」
 
ゴクリと唾を飲む榛名さん。
 
…………前に呉でGが出てきたときは総動員で探し出したなぁ…………懐かしい。
 
「はっ…………春雨さん…………っ!?」
 
すると、榛名さんが驚いたような声を出した。振り向いて見てみると、私を見ているようだ。
 
「…………どうしたんですか?」
 
「みっ…………みっみみみ、右肩に………………っ!!」
 
右肩?
 
私は自分の右肩を見てみた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そこには、黒光りするGがいた。
 
 
 
 
 
 
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
今までで最高の悲鳴だった。
 
 
 
―一方その頃―
 
 
 
 
キャアアアアアアアア…………。
 
ん?
 
俺は何やら悲鳴のようなものが聞こえた気がして掃除の手を止める。
 
「…………木曾さん?どうしました?」
 
辺りを見渡している俺を怪訝そうに見る他の三人。
 
「いや、悲鳴みたいなのが聞こえた気がしたから…………。」
 
「え?私は聞こえませんでしたけど…………阿武隈ちゃんと若葉ちゃんは?」
 
「いや…………聞こえなかったです。」
 
「全く。」
 
…………うーん、聞こえた気がしたんだけどな…………。
 
「気のせいか。」
 
俺は空耳だったという結論を出すと、掃除に戻った。
 
 
 
 
 
―三階 廊下―
 
 
 
 
「取って!取って!誰か取って!!榛名さん!はるなさーーん!?たすけてっ!!待って、本当に止めて!助けて、取って!取って!!」
 
私はカーディガンの右の肩口をもって、Gを振り落とそうとする。しかし、落ちない。
 
「ちょっ、春雨さん!こっち来ないで下さい!!」
 
私が追いかけると榛名さんは逃げていく。そりゃそうだ。G付いてるもん。
 
「ちょっと、ちょっと触って取るだけじゃないですか!!良いじゃないですか、減るものではないですよ!!」
 
「嫌ですよ!!本当に来ないで下さい!!」
 
「私たち、友達ですよね!?」
 
「出会って一時間位なのに何が友達ですか!Gくっついてる女の子の友達は知りません!!」
 
わちゃめちゃだった。
 
「春雨さんっ!!」
 
すると、反対方向に行ってたはずの古鷹さんがやって来た。
 
「あ!古鷹さん!G取って!」
 
「……………………え?」
 
すると、古鷹さんの反応は意外なものだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なんでここにも居るんですか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
G、増殖。

 
 
 
―数分後―
 
 

 
「どこ行ったのー!?」
 
結局あの後、弥生ちゃんと私に付いてたGはどこかに飛び去っていった。
 
私と弥生ちゃんは上着を脱いだ。流石にGがくっついた服を着続けるのは嫌だ。
 
私たちは今三階の南側で、四人で一緒に探すことになった。ただし、榛名さんと古鷹さんは私と弥生ちゃんに距離をおいている。悲しい。
 
ちなみに、この建物はロの字型で、全四階建てだ。
 
「これ、下の階や上の階に行ってるかも知れませんよね…………。」
 
弥生ちゃんはなかなか恐ろしい事を言ってきた。
 
「そうなると…………取りあえず、上の階に行ってみますか。」
 
最悪、上から下に追い込み漁をしよう。
 
私たちは近くにあった階段から四階へ上がる。
 
四階の南側には、主に執務室や提督の寝室などの重要な部屋が多い。ここの掃除担当は四班だ。
 
「提督達、大丈夫かな…………。」
 
「…………最悪提督を囮に…………。」
 
「生け贄の方が…………。」
 
「全身にトリモチで…………。」
 
なんだろ、拓海さんなにもしてないのにどうしてこんなに嫌われてるんだろうか。
 
「あ、春雨さん!」
 
すると、遠目に私たちを見つけたのか、廊下の向こうから文月ちゃんがやって来た。
 
「あれ、文月ちゃん?他の皆は?」
 
「今は北側の掃除をしてます。」
 
文月ちゃんが言うには、トイレに行ってたらしい。
 
「それで、トイレの帰りに凄いもの見たんですよ!」
 
そう言いながら文月ちゃんは目をキラキラと輝かせてた。
 
「凄いもの?」
 
「はいっ!こんな時期なのにかぶと虫が北側に飛んでったんですよ!!」
 
…………十月なのに、かぶと虫?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「しかも、角がない新種だったんですよ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
文月ちゃんの台詞のすぐ後に、悲鳴が聞こえてきた。
 
……………………はぁ。
 
…………私はため息を一つすると、とびっきりの笑顔を文月ちゃんに向けた。
 
「…………文月ちゃん、凄いねー!今度捕まえようね!」
 
「春雨さん!?現実逃避しないでください!今すぐに退治するの間違いですよ!?」
 
…………ふと、とある漫画に出てきた台詞を思い出した。
 
『Gを一匹見付けたら、その三倍はいる。』
 
…………六匹かぁ。
 
私は肩を落としながら、北側へ向けて走り始めた。

 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。このギャグ回、次回も続きます。話が進まない…………ま、気長にやってこう。

それでは、また次回。 
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