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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十八話 イルカその十一

「凄い流行したよね」
「十七世紀のはじめ辺りに」
「そうだったね」
「あまりにも酷くてどうしようもなくて」
 冗談抜きにロンドンという街自体が腐り果てて死ぬんじゃないかという位に酷かったという。
「それで大火事になるまで」
「収まりませんでしたの」
「そうだったらしいね」
「そのお話は聞いていますので」
「ペストは、そして鼠は怖いってことは」
「聞いてますの」
 そうだというのだ。
「まあ衛生的にしていれば問題ありませんが」
「奇麗だとね、街も」
「はい、下水道いえ日本みたいですと」
 肥溜め、汚いけれどこれがらしい。
「いいのでしてよ」
「昔の日本位清潔だと」
「ペストもなかったですわ」
 ロンドンやローマをはじめとした欧州ではだ。
「おそらく」
「ペストが流行る様な街は」
「不衛生ですわよ」
「そうだよね」
 道の端に汚物が捨てられていて鼠が走り回っている、そうしたとんでもなく不衛生な状況だった。
「日本はそれはなかったから」
「ゴミはゴミ箱にでしたわね」
「そうそう」
 そして肥溜めもあって肥料になっていた。
「道の端に捨てたりしなかったから」
「それがないので、しかも」
 ジョーンさんはさらに言った。
「猫も多くて」
「猫を悪魔や魔女の使いと言っていた」
 エリザさんはまた言った、もう終わりそうなショーを見ながら。
「そして殺してた」
「特に黒猫をでしたね」
「そうして猫がいなくなっていたから」
 鼠を捕まえるその猫達がだ。
「余計に」
「鼠が増えて」 
 そのペスト菌を媒介する、だ。
「大変だった」
「そうでしたね」
「日本は猫を嫌わないから」
「佐賀は違ったらしいですよ」」
 ハウステンボスのある長崎県の隣の県だ、かつては戦国大名竜造寺氏の本拠地で佐賀藩もあった。
「あそこは黒猫が嫌われてまして」
「鍋島の」
「はい、それです」
 まさにその鍋島家絡みの話だ。
「何でも主家筋が絡んでその祟りで」
「黒猫が出て来て」
「そのせいか」
 何かこの辺りの伝承は複数ある、主家筋だったその竜造寺家の主が鍋島家に殺されてその怨念が主が飼っていた黒猫に移ったともその他にも色々ある。
「あそこでは長い間黒猫は嫌われてました」
「そうだったの」
「最近はそうでもないみたいですが」
「黒猫は嫌われていて」
「はい」
 実際にだ。
「捨てられていたそうです」
「殺されるよりましにしても」
「そうした地域でした」
「黒猫は嫌われていた」
「大阪とは逆に」
 こちらはどうかというと。
「こっちでは好かれていて」
「同じ日本でも正反対に」
「はい、商売の福を招くってことで」
 商売人の町だけあってだ。
「生まれると喜ばれていました」
「それで飼われてた」
「黒猫の招き猫もありますよ」
 普通の猫以外にだ。
「そういうのも」
「そうなの」
「はい、これが」
 実際にだ。
「あります」
「そうなの」
「可愛いですよ」
 その黒猫の招き猫もだ、観ていて縁起がいい感じもする。 
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