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レーヴァティン

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第四十八話 バイキングの戦いその五

「今はいないみたいだな」
「見付からなかったか」
「ああ、どうもな」
 これがという返事だった。
「この辺り暫く探したんだけれどな」
「いなかったか」
「ああ、滅多に出ないモンスターだしな」
 稀少なものであることはバイキングもわかっていた、そうした返事だった。
「それじゃあな」
「クラーケンは諦めるか」
「折角湖に出たけれどな、それにな」
 さらに言うバイキングだった。
「巨人共が出て来て連中を倒したからな」
「それでよかったか」
「あと昨日サーペントも倒したよ」
「シーサーペント、いや違うな」
「ここは湖だからな」
「言うならレイクサーペントか」
「これも出てな」
 このモンスターもまた稀少なものである、その種類は首長竜のもの以外にモササウルスの様に鰐を思わせるものもある。
「倒したからな」
「じゃあ金もか」
「相当に手に入れたぜ」
 巨人達のそれも含めてだ。
「そっちもな」
「それは何よりだったな」
「モンスターはな、ただな」
「ああ、それで何があるんだよ」
「その話は街に戻ってからにしないかい?」
 久志達に笑って話した言葉だった。
「それは」
「湖の上じゃなくてか」
「そこで話さないか?詳しい話は」
「それじゃあまずはか」
「港に戻ろうな」 
 それがある街にというのだ。
「そうしような」
「よし、じゃあな」
 久志も頷いた、他の仲間達も同じだった。
 バイキングを含めた一行は港に戻った、戻るのも魔法と方位磁石と地図ここでは湖図のお陰で楽だった。
 その順調な帰路の中でバイキングは己のことを話した。
「俺っちの名前は大江芳直っていうんだ」
「大江か」
「ああ、芳直って呼んでくれよ」
 こう久志に話した。
「そうな」
「ああ、じゃあそう呼ぶな」
「それで持っている鎚はウコンバサラだ」
「その鎚は」
 その名を聞いて言ったのは順一だった。
「フィンランドの方ですね」
「らしいな」
「バイキングとは少し違いますね」
 順一はこのことを怪訝な顔で話した。
「どうも」
「バイキングはノルウェーだよな」
「はい、主に」
 そこから欧州全体に乗り出していたのだ。
「そうでしたが」
「実はそっちの感じの地域に行ったな」
 フィンランドを思わせる文化様式の地域にというのだ、この島の中の。
「洞窟の奥にあったんだよ」
「洞窟の」
「ああ、物凄くでかいドラゴンがいるな」
「そのドラゴンを倒して」
「いやいや、戦ったけれど叩きのめしてな」
 そうしてというのだ。
「降参させて貰ったんだよ」
「そうでしたか」
「自分を倒せる程なら預けても大丈夫だって言ってな」
「そうでしたか」
「とんでもなくでかい白いドラゴンだったぜ」
「ホワイトドラゴンだね」
 白いドラゴンと聞いてだ、源三はすぐに話に入って言った。 
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