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おぢばにおかえり

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第四十四話 二人でお外に出てその七

「私としてはそうさせてもらいたいの」
「じゃあ僕が高校を卒業してもですね」
「おぢばにいるわ」
 この子の卒業までといいますと二年半、私の方が二年余計に長いです。
「それだけね」
「そうですよね」
「ええ、ただ阿波野君も天大受けるつもりよね」
「合格目指してます」
 受けるのならというのです。
「宗教学科ですね」
「じゃあ大学も一緒になるの?」
「待っていて下さいね」
「待たないわよ」
 私はすぐにむっとなって言い返しました、商店街の中にいてもそこは目に入っていませんでした。
「何で待つのよ」
「いやあ、そうしてくれると嬉しいなって」
「そう思ってなの?」
「絶対に合格しますから」
「頑張ってね、けれどここまでいさんでるなんて」
 私は阿波野君のこのことに意外に思いました、どう意外かといいますと。
「高校から普通に入った教会や布教所のお家でない子が」
「あれっ、何かあります?」
「いえ、信者さんで凄く伏せ込んでくれてる人はいてくれてるけれど」
 それでもです。
「高校生から急に、って子はね」
「そんなにいないですか」
「阿波野君位はね」
 本当にこの子位いさんでいる子はです。
「はじめて見たわ」
「そうなんですね」
「ええ、おみちについては真剣なのね」
「そうでしょうか」
「そうでしょうかって」
 それこそです。
「ようぼくコースでしょ?高校でも」
「はい、そうです」
「いきなりそれで大学もだから」
 そこまでしているからです。
「かなり勇んでるわね」
「いえ、最初は何となくです」
「何となくって?」
「おぢばに帰ってまして」
 それでというのです。 
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